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ミステリ感想-『いくさの底』古処誠二

2018年02月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ビルマのある村に駐屯した日本軍。
村長と親交のあった指揮官が、その夜のうちに何者かに殺される。
将校待遇の通訳として同行する依井は、のどかに見えた村の裏に潜む闇を探る。

2017年このミス5位


~感想~
メフィスト賞でデビューし、二作目で本ミス6位、三作目で本ミス4位に輝き将来を嘱望されるも、出版社と何かあったのか著作を残らず改題して他社から文庫化し、それ切りミステリからも離れ戦争小説ばかり書いていた作者が、久々にこのミスにランクイン。
だがあの古処誠二がミステリ(寄りの)作品を書いた!という喜びは大きいが、個人的にはそこまで楽しめなかった。
というのも動機に関わるある事柄が、ろくにこの時代に知識がなく、逆に戦国時代や三国志に詳しい身からすると、これはそれほど大ごとなのだろうかと疑問に思えてしまったり、知識が乏しいのを棚に上げて、そういうことなら先に言っておいて欲しかったと思えてしまい、肝心要の場面で大きく首を傾げる事態になってしまったのだ。
とはいえ完全にこちらの知識不足による失態なので、文句を言うのは筋違いである。
実にミステリらしいトリックが仕掛けられているのだが、それがこの時代ならではの、この時代ならば有り得ただろう物語として成立しており、これまで作者の戦争小説を追いかけてきたファンならば、おそらく十全に楽しめることだろう。


18.2.13
評価:★★★ 6
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