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ゲーム感想-『神獄塔メアリスケルター2』

2021年02月20日 | ゲーム
~あらすじ~
謎の怪物メルヒェンによって世界は滅び、人々はジェイルと呼ばれる監獄に囚われた。
メルヒェンと戦う力と、おとぎ話に関連する名を持つ血式少女たちは、人々を救いジェイルからの脱獄を目指す。

~感想~
たまたま見た完結編「メアリスケルターFinale」が面白そうだったので前作を購入。vitaで発売された「メアリスケルター1」のリメイクも収録されるが、時系列から公式も2→1の順でのプレイを推奨している。

コンパイルハートのRPGをやったことがあればだいたいいつも通りで、
・画像と文だけでざっと説明されるチュートリアル
・ステータスの意味すらどこにも書いてない
・装備の追加効果アイコンがあるがこれも説明無し
・急に出てくる3倍くらい強い雑魚
・マップ上で上りか下りかもわからない階段
・1つずつしか受注できないクエスト
・モンスターを数匹倒してくるだけのクエストなのに異常に低い出現率で、エンカウント率をむちゃくちゃ上げても40分掛かったりする
・そのクエスト報酬はゴミ
・強スキルを使うと次の行動順が遅れるが、その説明もどのくらい遅れるかの目安も無い
・読み込みが間に合っていないらしく戦闘スキルの位置がちょくちょく変わる
・覚えさせたら絶対忘れられないユ血スキル
・第2章で増えた仲間のスキルで第1章の隠し通路に入ったら最大HPの4倍ダメージの全体攻撃をしてくる雑魚に遭う
などなど「これでこそコンパちゃんだぜ!」と快哉を叫びたくなる粗さ。
古き良きレトロゲームで鍛えられた我々の世代はそれもまた一興と楽しめるのでまあ問題はない。

戦闘はスキルの揃わない前半は手こずるが、後半になるにつれ最適化されると一転してヌルゲー化し、決まりきったパターンで範囲・全体攻撃を食らわせていけば事足りる。ただラスボスは強かった。
キャラは12人いるわりに個体差はほとんど無いものの、キャラゲーの側面も強い作品だけに、好きなキャラを使えるよう配慮したのだと思うので仕方ない。

良いところを挙げていくと「磁石で引きつける」「ワープゾーン設置」といったスキルを駆使してのダンジョン探索は楽しく、扉を開けたら急に出てくるボスキャラなどの大雑把な難易度で、いつ全滅してもおかしくない緊張感もあり、進むべきか退くべきかの判断も悩ませる。

ストーリーはよくあるかわいい萌えキャラたちが、血しぶき舞う残酷で理不尽な現実にさらされる系で、キャラごとの個別イベントもベタにベタを重ねたものながら、フルボイスの熱演が光る。一枚絵はもうちょっとあって欲しかったが。
また最後の最後に急に本格ミステリさながらの推理が始まり、3つの問いに正解しなければバッドエンド直行の流れは個人的に熱かった。その推理もトリックもミステリ狂を唸らせるちょっとしたもので、隠された真相も(とんでもない胸糞エンドだが)実に良くできていた。
続編の「1リメイク」で胸糞エンドも救われるようだし、こんな結末を見せられてはすぐに続きが知りたくなるだろう。

が、問題は「1リメイク」の方で、「2」からシステムがあちこち変更されているのだが、改悪された部分もかなり多く、特に問題なのが戦闘スキル周り。
有能スキルのほとんどが職業ごとに固定されてしまい、1つの職業から全然動かせず、自由度が格段に低下した。
第3章あたり(全10章)で取るべきスキルは揃ってしまい、そうなると後はいくらレベルを上げてもパラメーターが高まるだけで戦術が広がらないし、育てる意欲も得られない。
そのうえ2よりも雑魚の強さが高まる一方で、戦闘メンバーを1人減らされたり、強化された武器が一切拾えなかったり、範囲攻撃スキルが撤廃されたり、レベルが足りないと単純にパラメーター差で圧倒されてボコられたりと、プレイヤーに不利なことばかりが増えた。
ストーリーは気になるが、完結編「Finale」で1・2の全てのイベントが見られる(※ただしボイスは無い)し、改悪部分ものきなみ直っているようなので、もはや「1リメイク」をやる理由は、個人的には無くなった。

総評としては、公式サイトやゲーム内で前日譚・外伝が読めたり、小説版などメディアミックスもあり、世界観と物語の面白さは良好。
理不尽かつ適当な難易度のダンジョンRPGを受け入れる懐があれば、強くおすすめはしないものの、興味があればやってみる価値はある、奇妙な魅力を持ったゲームである。


評価:★★★ 6
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