~あらすじ~
※シリーズ第一作「medium 霊媒探偵城塚翡翠」のネタバレがあるため必ず第一作からお読みください。
嵐の夜、車が故障した城塚翡翠は近くの家に助けを求める。そこには挙動不審の少年がおり、二階には刺殺死体が転がっていた…生者の言伝
同性に嫌われがちな翡翠に珍しくできた友人。だが彼女は復讐のため人を殺し、翡翠をアリバイトリックに利用する…覗き窓の死角
~感想~
ネタバレに配慮しつつ感想を。
短編集でも期待に違わぬ驚きを味わわせてくれた「invert」に待望の続編。実写ドラマ化も決まった勢いそのままに今回も一筋縄ではいかない秀作揃いだった。
どちらも倒叙ミステリながら趣向は異なり、「生者の言伝」は犯人丸出しの少年が苦心惨憺で翡翠の追求をかわしつつもあっさり篭絡されるスラップスティックで、古畑で何度となく見た光景の翡翠バージョンが繰り広げられる。
真綿で首を絞められるように着々と追い詰められていく少年がだんだんかわいそうになっていくし、こんなにページ数を掛けていたいけな(?)少年を苦しめなくても…と思うが、もちろんただでは終わらない、とだけ言っておこう。ただロジックは細かすぎ、ややこしすぎた感はある。
続く「覗き窓の死角」の犯人は少年とはうってかわって強敵で、細かい瑕疵はあるものの容易に隙は見せず、何より鉄壁のアリバイに守られている。こちらも古畑でよく見た光景の翡翠バージョンで丁々発止のやりとりが繰り返され、そして…。
正直なところトリックはこれだけ鉄壁だと逆説的にこの手しか考えられず、よくあるものの亜種になってしまい、決着手も映像作品なら映えるのだが…と思えてしまった。
しかし犯人との直接対決や、翡翠の過去や裏をめぐる物語としての見どころが山程あり、不平を唱えるのは贅沢というものだろう。
それにしても毎回あの手この手で凝った趣向を考えており、たまにはキャラと会話重視で肩の力を抜いた、1アイデアで気軽に短編集を出してきてもいいんですよ、という気持ちもある。
なにはともあれ今回も御苦労様でした。
22.10.8
評価:★★★☆ 7
※シリーズ第一作「medium 霊媒探偵城塚翡翠」のネタバレがあるため必ず第一作からお読みください。
嵐の夜、車が故障した城塚翡翠は近くの家に助けを求める。そこには挙動不審の少年がおり、二階には刺殺死体が転がっていた…生者の言伝
同性に嫌われがちな翡翠に珍しくできた友人。だが彼女は復讐のため人を殺し、翡翠をアリバイトリックに利用する…覗き窓の死角
~感想~
ネタバレに配慮しつつ感想を。
短編集でも期待に違わぬ驚きを味わわせてくれた「invert」に待望の続編。実写ドラマ化も決まった勢いそのままに今回も一筋縄ではいかない秀作揃いだった。
どちらも倒叙ミステリながら趣向は異なり、「生者の言伝」は犯人丸出しの少年が苦心惨憺で翡翠の追求をかわしつつもあっさり篭絡されるスラップスティックで、古畑で何度となく見た光景の翡翠バージョンが繰り広げられる。
真綿で首を絞められるように着々と追い詰められていく少年がだんだんかわいそうになっていくし、こんなにページ数を掛けていたいけな(?)少年を苦しめなくても…と思うが、もちろんただでは終わらない、とだけ言っておこう。ただロジックは細かすぎ、ややこしすぎた感はある。
続く「覗き窓の死角」の犯人は少年とはうってかわって強敵で、細かい瑕疵はあるものの容易に隙は見せず、何より鉄壁のアリバイに守られている。こちらも古畑でよく見た光景の翡翠バージョンで丁々発止のやりとりが繰り返され、そして…。
正直なところトリックはこれだけ鉄壁だと逆説的にこの手しか考えられず、よくあるものの亜種になってしまい、決着手も映像作品なら映えるのだが…と思えてしまった。
しかし犯人との直接対決や、翡翠の過去や裏をめぐる物語としての見どころが山程あり、不平を唱えるのは贅沢というものだろう。
それにしても毎回あの手この手で凝った趣向を考えており、たまにはキャラと会話重視で肩の力を抜いた、1アイデアで気軽に短編集を出してきてもいいんですよ、という気持ちもある。
なにはともあれ今回も御苦労様でした。
22.10.8
評価:★★★☆ 7