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ミステリ感想-『地層捜査』佐々木譲

2022年10月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
キャリアにたてつき謹慎処分を受けた水戸部裕は、迷宮入り事件を担当する「特命捜査対策室」で復帰する。
退職刑事を相棒に15年前の荒木町で起こった殺人事件を追い、かつての花街に地層のように埋もれた真実を解き明かす。


~感想~
15年前の老女殺人事件を追い、昭和の花街の様相に分け入る…と聞くと地味そうに思えるかもしれないが、地味そうではなく地味。すさまじく地味。
もともと花街で被害者も元芸者のため関係者に盛り場の住人が多く、一杯引っ掛けながら捜査するのだが水戸部は極めて真面目な愛妻家で、退職刑事もシニアミドルのため捜査は地味に地道に進む。なにぶん両刑事とも恐ろしく優秀なので物語は滞りなく進み、終わってみれば疑問の余地なく全てがまとまるのだが、地味さはどうしても拭えない。
このあたりの地味さを続編「代官山コールドケース」ではいろいろ工夫して(それでも地味だが)補っており、しかも「代官山コールドケース」では本作の結末と後日談を丸々書かれているので、まずは本作から読み通していただきたい。


22.10.15
評価:★★☆ 5
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