~あらすじ~
フリーライターの太刀洗万智は、滞在していたネパールで王族間で起こった殺人事件に遭遇。
王宮内にいた軍人に取材を申し込むが「記事はサーカスの演し物に過ぎない」と指摘され懊悩する。
さらに王宮外でも殺人が発生し……。
2015年このミス1位、文春1位、本ミス3位
~感想~
まず本作は「さよなら妖精」から数年後が舞台であり、作者はあとがきで本作から読んでも問題ないと記すが、「さよなら妖精」の結末が何度もほのめかされているので、個人的には先に「さよなら妖精」を読んでおくことを勧めたい。
「さよなら妖精」自体が多感な中高生なら人生観が変わりかねないほどの傑作なので、未読ならぜひ。
また続編の「真実の10メートル手前」ではもう完膚なきまでにネタバレされているので、そもそも本作に限らずシリーズ作品は刊行順に読むべきである。
本作では2001年に実際に起こったナラヤンヒティ王宮事件がそのまま題材に採られ、物語とも密接に関連する。
米澤穂信は今や国民的作家の地位に着々と近づきつつあるが、鬱小説ランキングで必ず上位に顔を出す「ボトルネック」を筆頭になかなかのトラウマメーカーでもある。
本作でもその容赦ない刃は登場人物の太刀洗万智だけではなく、読者にも突きつけられ、苦い後味を残すだろう。だがそれだけでは終わらず、最後にはきちんと希望や救いめいたものも感じられ、トラウマだけでは終わらなかった。
単純にミステリとして、物語としての出来が抜群に良く、しかも傑作「さよなら妖精」の続編として書かれただけはある多くのテーマ性を持った、ネクスト国民的作家の数多い代表作の一つになるだろう。
23.4.17
評価:★★★☆ 7
フリーライターの太刀洗万智は、滞在していたネパールで王族間で起こった殺人事件に遭遇。
王宮内にいた軍人に取材を申し込むが「記事はサーカスの演し物に過ぎない」と指摘され懊悩する。
さらに王宮外でも殺人が発生し……。
2015年このミス1位、文春1位、本ミス3位
~感想~
まず本作は「さよなら妖精」から数年後が舞台であり、作者はあとがきで本作から読んでも問題ないと記すが、「さよなら妖精」の結末が何度もほのめかされているので、個人的には先に「さよなら妖精」を読んでおくことを勧めたい。
「さよなら妖精」自体が多感な中高生なら人生観が変わりかねないほどの傑作なので、未読ならぜひ。
また続編の「真実の10メートル手前」ではもう完膚なきまでにネタバレされているので、そもそも本作に限らずシリーズ作品は刊行順に読むべきである。
本作では2001年に実際に起こったナラヤンヒティ王宮事件がそのまま題材に採られ、物語とも密接に関連する。
米澤穂信は今や国民的作家の地位に着々と近づきつつあるが、鬱小説ランキングで必ず上位に顔を出す「ボトルネック」を筆頭になかなかのトラウマメーカーでもある。
本作でもその容赦ない刃は登場人物の太刀洗万智だけではなく、読者にも突きつけられ、苦い後味を残すだろう。だがそれだけでは終わらず、最後にはきちんと希望や救いめいたものも感じられ、トラウマだけでは終わらなかった。
単純にミステリとして、物語としての出来が抜群に良く、しかも傑作「さよなら妖精」の続編として書かれただけはある多くのテーマ性を持った、ネクスト国民的作家の数多い代表作の一つになるだろう。
23.4.17
評価:★★★☆ 7