小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ゲーム感想-『大逆転裁判1&2』

2023年06月03日 | ゲーム
~あらすじ~
殺人容疑を掛けられた大学生の成歩堂龍ノ介は、親友の亜双義一真の助けを得て、自らを弁護する。
そして成歩堂と亜双義は大英帝国へ向かい、その船上で大探偵シャーロック・ホームズに出会う。
明治時代を舞台に、逆転裁判の新たなシリーズが始まる。


~感想~
PS4版ではなく3DS版を今さらクリア。
シリーズ集大成にして紛れもなく最高傑作だった。

とにかくストーリーの質が高く隙がない。2作10話掛けて1つの大きな物語を描き、一話一話がそれを補完するとともに全ての伏線として機能し、しかも一話ごとに個々の短編としても上質である。
そのうえホームズのパスティーシュとしても秀逸で、半可通の自分でもわかるくらいにホームズ作品の要素が目白押しで、大ファンならばなおのこと楽しめるだろうし、ホームズの「推理は常に正しくやる時はやるが、推理への筋道と普段はむちゃくちゃ」なキャラも最高。
逆転裁判シリーズどころか本格ミステリとして歴史に残りうる、7作+α続くシリーズをさしおき「大」を冠したのも納得の超絶傑作である。


以下、細かい苦言も少し。
とにかく一話が長い。1の第一話からこれまでのシリーズの最終話くらい長く、2話以降で探偵パートも入るともっと長い。3Dモデルが全ゲームの中でも最高峰くらいぬるぬる自然に動くが、モーションが長すぎるキャラもちらほらいて冗長な面もある。
冗長といえば完全に続編なのに1と2の間が2年開いたのも足を引っ張った。完成度を高めるためか、話かロジックに矛盾が生じてやり直しになったのか、いずれにしろ2年の空白は致命的だったし、正気の沙汰ではない。
販売本数が8万本も減ってしまったのもむべなるかなである。

パート内で5回間違えると問答無用のゲームオーバーでセーブ地点まで戻されるのはいつも通りだが、前提条件だった「証拠と発言の間の矛盾を指摘する」ことが崩れているところが多々あり、話の流れから正解はわかるものの、発言との間には矛盾がなく、難易度を上げてしまっている。
このあたりを開き直ることで表現の幅を広げるのには成功したが、同時にこのフォーマットの限界を露呈してしまった。

おそらく本作は逆転裁判というシステムでできる、やりたいことの全てをやり尽くしてしまったのではなかろうか。
本作を最後にシリーズが止まって6年が経つ。何も調べず書いているが、もう逆転裁判でできることが、やれることが無くなったために筆を置いてしまったのではないかと思う。
大逆転裁判はシリーズ最高傑作であると同時に、シリーズを終わらせてしまった完結作なのかもしれない。


評価:★★★★★ 10
コメント