~感想~
ノンシリーズ短編集だが様々な趣向があり、まずタイトルが冒頭で単行本版の原題の「夏の最後の薔薇」から始まり「薔薇色の嘘」、「嘘は罪」、「罪な夫婦」と、しりとりで繋げていき、最後の「雨だれを弾く夏」で一巡する。
さらに12作全てが「浮気」をテーマにし、20数ページの分量で殺人事件なしの日常の謎だけで構成されており、非常に凝った構成である。
内容ももちろんどれも連城短編のクオリティを保ち、何作か挙げると冒頭からの4編がいずれも強烈で、さりげなく張られた伏線から構図を反転させたり、全く別の意味を持たせたり、思いもしない展開を導いたりとやりたい放題。これでミステリを書くのはやめて恋愛小説に専念したと言われても説得力ゼロですってば。
冒頭からの4編と言ってしまったが、改めて読み返すとどれもこれも空恐ろしくなるほどすごい仕掛けが施されており、読者が連城短編に求めるものが詰まっている。
これだけ縛りを付けてなお、いや縛りを付けたからこそ研ぎ澄まされた粒ぞろいの一冊である。
23.6.27
評価:★★★☆ 7
ノンシリーズ短編集だが様々な趣向があり、まずタイトルが冒頭で単行本版の原題の「夏の最後の薔薇」から始まり「薔薇色の嘘」、「嘘は罪」、「罪な夫婦」と、しりとりで繋げていき、最後の「雨だれを弾く夏」で一巡する。
さらに12作全てが「浮気」をテーマにし、20数ページの分量で殺人事件なしの日常の謎だけで構成されており、非常に凝った構成である。
内容ももちろんどれも連城短編のクオリティを保ち、何作か挙げると冒頭からの4編がいずれも強烈で、さりげなく張られた伏線から構図を反転させたり、全く別の意味を持たせたり、思いもしない展開を導いたりとやりたい放題。これでミステリを書くのはやめて恋愛小説に専念したと言われても説得力ゼロですってば。
冒頭からの4編と言ってしまったが、改めて読み返すとどれもこれも空恐ろしくなるほどすごい仕掛けが施されており、読者が連城短編に求めるものが詰まっている。
これだけ縛りを付けてなお、いや縛りを付けたからこそ研ぎ澄まされた粒ぞろいの一冊である。
23.6.27
評価:★★★☆ 7