~あらすじ~
18世紀、靴職人のネビルは強制徴募により英国海軍の帆船軍艦ハルバード号の乗員にさせられる。
2ヶ月後に生まれるはずの我が子と引き離され、死ぬまで陸へ戻れないとまで言われる過酷な軍役のさなかに起こる殺人事件と、フランス海軍との戦闘。翻弄されるネビルの運命は?
2023年鮎川哲也賞
~感想~
5年連続で最終選考に残った作者がついに鮎川哲也賞を射止めた受賞作。なお3年ぶりの鮎川賞とのこと。
毎回丹念に調べ上げ様々な題材に挑んできたという作者だけあり、丁寧な描写とこなれた筆で、珍しい舞台の物語をすいすい読ませる。
5年分の反省と修正が感じられる、とにかく欠点の少ない作品で、減点方式ならば90点を下回ることのない完成度ながらその分、堅実すぎて平凡な印象を与えかねないところを、ギリギリの線で耐え切ってみせた。
期待されるこの時代ならではのトリックや動機、フランス軍との戦闘ややっぱりあって欲しい最後のアレや、強引な結末も過不足なく揃え、それでも地味さはどうしても感じてしまうものの、受賞に相応しい佳作であることは間違いない。
受賞し今後はもっと攻めた作品にも挑戦できるようになり、書ける力は確かに持っている作者なので、第二作以降の方が楽しみである。
23.10.28
評価:★★★☆ 7
18世紀、靴職人のネビルは強制徴募により英国海軍の帆船軍艦ハルバード号の乗員にさせられる。
2ヶ月後に生まれるはずの我が子と引き離され、死ぬまで陸へ戻れないとまで言われる過酷な軍役のさなかに起こる殺人事件と、フランス海軍との戦闘。翻弄されるネビルの運命は?
2023年鮎川哲也賞
~感想~
5年連続で最終選考に残った作者がついに鮎川哲也賞を射止めた受賞作。なお3年ぶりの鮎川賞とのこと。
毎回丹念に調べ上げ様々な題材に挑んできたという作者だけあり、丁寧な描写とこなれた筆で、珍しい舞台の物語をすいすい読ませる。
5年分の反省と修正が感じられる、とにかく欠点の少ない作品で、減点方式ならば90点を下回ることのない完成度ながらその分、堅実すぎて平凡な印象を与えかねないところを、ギリギリの線で耐え切ってみせた。
期待されるこの時代ならではのトリックや動機、フランス軍との戦闘ややっぱりあって欲しい最後のアレや、強引な結末も過不足なく揃え、それでも地味さはどうしても感じてしまうものの、受賞に相応しい佳作であることは間違いない。
受賞し今後はもっと攻めた作品にも挑戦できるようになり、書ける力は確かに持っている作者なので、第二作以降の方が楽しみである。
23.10.28
評価:★★★☆ 7