小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『影の告発』土屋隆夫

2021年08月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
百貨店のエレベーター内で毒殺された男。手掛かりは二人の女の写真と名刺、そして「女がいた」という被害者の最後の言葉のみ。偶然居合わせた千草検事は捜査に加わり、謎めいた男の半生を追う。

1963年日本推理作家協会賞、東西ベスト(1985)41位

~感想~
おのぼりさんの学生が修学旅行で生まれて初めてのデパートに押し寄せ、エレベーターガールが事件を目撃する生粋の昭和ミステリ。
昭和は「少女」の概念も現在とは異なり、ただ「少女」とだけ書かれるので漠然と10~15歳を想像してたら余裕で成人しているから驚かされる。
トリックも捜査手法も昭和の代物ではあるものの、足を使っての地道な捜査や、千草検事の閃きとそれをかいくぐる犯人の狡猾さ、次第に明らかになっていく謎めいた男の半生などは十分に読ませる。
章ごとに挟まる謎の少女の独白やある手掛かりの真相こそそれはちょっと…という拍子抜けだったが、レトロな雰囲気の中に光るものはいくつもあり、現代人にもしっかり楽しめる佳作ではある。


21.7.27
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『硝子の塔の殺人』知念実希人

2021年08月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ミステリ好きが高じて山奥に硝子の館を建てた科学者の神津島太郎。
担当医の一条遊馬は、難病の妹の治療薬の承認を拒む彼の殺害を目論むが、館には自ら名探偵を名乗る碧月夜が招かれていた。


~感想~
帯に名だたる本格ミステリ作家たちが推薦文を寄せ、ゴッド・オブ・ミステリ島田荘司が解説を引き受け、作者自身も何ヶ月も前から自信作と宣伝していた本作、蓋を開けてみれば賛否両論、というか歴史的大駄作やダメミスと蔑む声が多数で、称賛されても問題作か、そんなに悪くない程度の評価どまりだった。
自分も1行目が歴史的ダメミス「黙過の代償」の「まったくなんてことをするんだ」によく似た「どうしてこんなことになってしまったのだろう」でニヤニヤしてしまった。
ミステリ愛はあふれすぎてこっ恥ずかしいほどなのに、よくよく見てみるとそんなにミステリに詳しくないなと気づいてしまう底の浅さや、到底見過ごすわけには行かない(ある意味で)重大な瑕疵と、予定調和的なトリックの数々はたしかに人を選ぶだろう。
だが終わってみれば歴史的大駄作でも大傑作でもない、ごく普通の意欲的な本格ミステリだと思う。

しかし一部に看過できない瑕疵がいくつかあるのも確かで、おそらくそれがぶっ叩かれやすかったのだろう。
自分もその一部には「は?(威圧)」と目を剥いて激しい苛立ちを覚えた。
以下はネタバレ三昧となるので、サイトのページで続きを記し、総評だけここに載せさせてもらう。
興味があれば読了後にご覧ください。

→ ネタバレ感想ページへ ←

以下総評。
一作にあれこれ詰め込んだ意欲作であるのは間違いなく、後は好みの問題だろう。
その好みの部分で「は?(威圧)」と思うような「ミステリファン舐めてるの?」といった描写が散見され、浅いうんちくできゃいきゃい盛り上がり、擦れっ枯らしのファンを怒らせた面はある。
だがそうした枝葉末節から目を背ければ、歴史的大駄作やダメミスと蔑むほどではないし、問題作と取り上げるほどの際立って画期的な何かがあるわけでもなければ、かといって何ヶ月も前からアピールし、名だたる作家に推薦をお願いするほどの傑作でもない、これまで日の目をあまり見ずに消えていった本格ミステリの意欲作の中では、注目されるように仕組まれて目立っただけの、ごく普通の作品だったと思う。


21.8.9
評価:★★★ 6
コメント (2)

今週のキン肉マン #355 天を衝く8人!!

2021年08月02日 | 今週のキン肉マン
・さすがにこの状況では受けるしかないスグル
・ドルアーガの塔はこの時代設定だと現在の人気ゲームだからね
・ロビン復活がこんなあっさり流されるとは思わなかったよ
・絶対8人必要だから来なかったら非常に困る、というか詰むんだが
・特に因縁も理由もない謎のアイテムでワープするのさすがゆで
・イラク南部にバベルの塔があるの色々と問題がないかww
・ロビンこんなにあっさり帰ってくると思わなかったよ
・ロビンのことだから記憶喪失になってるとか状況把握してないとかちょっと期待してた
・厳しい修行を終えたみたいな姿だけど埋葬された砂から出てきただけだし、ワープしてきただけ
・じゃあそのボロ布マントはなんなんだww
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8月の新刊情報

2021年08月01日 | ミステリ界隈
7月28日 幻冬舎
雫井脩介 霧をはらう

7月31日 徳間書店
長岡弘樹 巨鳥の影


8月1日 新潮文庫
月原渉 炎舞館の殺人

6日 祥伝社ノンノベル
石持浅海 君が護りたい人は

6日 星海社
円居挽、市川憂人他 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!ミステリー小説アンソロジー

6日 実業之日本社文庫
宇佐美まこと 少女たちは夜歩く

10日 光文社文庫
鮎川哲也 黒い蹉跌

12日 講談社タイガ
秋保水菓 謎を買うならコンビニで
汀こるもの 探偵は御簾の中

12日 講談社文庫
有栖川有栖 カナダ金貨の謎
綾辻行人 黄昏の囁き 新装改訂版
真保裕一 連鎖 新装版
薬丸岳 天使のナイフ 新装版

16日 創元推理文庫
山本巧次 開化鉄道探偵 第一〇二列車の謎

18日 早川書房
月村了衛 機龍警察 白骨街道

19日 講談社
西尾維新 死物語 上・下

24日 文藝春秋
澤村伊智 邪教の子

25日 講談社
似鳥鶏 推理大戦

26日 新潮社
貫井徳郎 邯鄲の島遥かなり 上

27日 小学館
長岡弘樹 教場X

27日 東京創元社
大島清昭 影踏亭の怪談 ※ミステリーズ!新人賞

30日 実業之日本社
白井智之 死体の汁を啜れ

30日 角川書店
伊吹亜門 幻月と探偵
大沢在昌 熱風団地

31日 創元推理文庫
梓崎優 リバーサイド・チルドレン
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