フィリップ・マーロウはチェスの棋譜を読むんだね。詰め将棋なんかも。渡辺探偵事務所の沢崎は囲碁の本を読む。それも贔屓があるらしい。何といったかな、一昔前に活躍した人なので名前を忘れた。わたしも歌舞伎町のバーでカラスミのお土産を貰ったりしたんだけど申し訳ない。本因坊だったか名人だったか。大竹名人だったかな。沢崎って知らないですか。原寮さんのハードボイルド小説の主人公です。
私もいっときは詰碁の本を読んだものです。とくに寝つきが悪い夜なんか格好の睡眠薬だった。しかし、全然上達しないので腹を立てて読むのを止めてしまいました。読書にもTPOがあって、就寝前に適した本というのがあります。寝付かれないときとか、夜中に目が覚めて眠れなくなった時とかには、酒でも飲んで詰碁なんかすると効果満点でした。
目が覚めてしまったのが午前3時前で、再び眠れそうも無いときは匂いの無い蒸留酒(ラム、ウオッカ)を飲みます。冷蔵庫のなかにジュースがあるときにはそれでカクテルを作ったりします。ジンも割ればにおいも気にならなくなります。ウイスキーやブランデーはだめですね。午前3時には似合いません。ビールはいけないようです。便所が近くなるということもありますが、どうも腸を刺激するんでしょうか、いやな夢を見ることがあります。3時を過ぎていたら酒は我慢します。3時過ぎの酒はどうも朝まで後をひくようです。
こういうときにアルコールを飲みながら中世の坊さんが書いたものを読むといいようです。いわゆるスコラ哲学ですな。すぐに眠くなります。それに多少実用的な意味もありましてね。近世、現代の哲学は中世を吹っ飛ばしてプラトン、アリストテレスとつながるのですが、論理学、言語分析はスコラ哲学が参考になるんですな。これも最近の研究の成果です。たかだかここ2,30年くらいではないですか。言語分析の分野で現代哲学との関係が注目されるようになったのは。
スコラ哲学は煩瑣哲学といわれるくらいですから午前3時の不眠症には最適です。