繁栄の弧なんて言ったのは外相時代の麻生さんだったかな。中東から近東へ至るベルト地帯のつもりらしい。アメリカのサンベルトをまねたのだろう。
遠い昔の話となった。日本語としてこなれないために、いつの間にか忘れられた。
さて、日本列島はさしずめ「邪魔な弧」だ。どこにとって ? もちろんアメリカ、チャイナ、ロシアにとってだ。太平洋の真中に立ちはだかっている。逆に大日本帝国にとっては鉄壁の弧であった。彼らにとっては「日本沈没」といきたいところだろう。
戦前は全千島列島も邪魔な弧の一部だった。サハリンという楔も打ち込んでいた。朝鮮、満州という楔(というかゴシック建築で言う控壁、支持壁、バットレス)で補強した。円弧の南は台湾まで延びていた。
南の支持壁もサイパンなどのマリアナ諸島、さらに南のミクロネシア諸島まで延びた。第一次世界大戦後それらの地域は日本の信託統治領となった。
防衛戦略とはこういうことを言う。
彼らは太平洋戦争でまんまと円弧の南北をもぎりとってしまった。三本の支持壁もなくなった。
ここで一句 > 大ばくち 身ぐるみ剥がれて スッテンテン < 甘粕正彦、満州映画社長
それからは日本の防衛戦略は国際社会の理解とお情け、そして手品に頼らざるを得なくなった。
どうも田中角栄以来日本の首相は手品が下手のようだ。