東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

「日英同盟」から同盟一般に説き及ぶ

2015-09-10 15:04:39 | 安全保障
軍事同盟というのは夫婦のようなものだと分かった。それも野合とか恋愛結婚ではなくて見合い結婚である。見合いというのは本人同士の損得は勿論のこと、両家の総合的な損得を秤にかける。

恋愛結婚だって当初の獣欲の炎が治まれば、両者の絶えることのない妥協、協力によって精魂込めて均衡を守らなければ破局にいたる。いわんや見合い結婚においておや。軍事同盟また然り。絶えざる手入れ、調整が不可欠である。そのうえ四囲の情勢は絶え間なく変化する。

両家、各家とも一枚岩ではない。利害の異なる人間からなる寄り合いである。その均衡である。同盟各国の中でも様々な態度に分かれる。それぞれの家の親戚にも色々なのがいるのもである。姑、小姑に至っては結婚そのものに反対でいつかぶちこわしてやろうとする人間がいるものである。

イギリスの場合、独立戦争までしたなかであるが、同血のアメリカがある。また、英連邦を構成するカナダ、ニュージーランド、オーストラリアがある。そしれこれらの国々はどちらかというと、日本を排斥し、敵対する国である。いってみれば敵対する小姑である。アメリカ、カナダは日本から増加する移民に不快感、恐怖感、警戒感をもっている。さらにアメリカにとってはチャイナへのアクセスの前に立ちはだかるのは日本である。この壁は壊したい。

オーストラリア、ニュージーランドは日本の南洋進出、発展で国防上の危険を感じている。英国はこれらの保護国もまとめなければならない。日英同盟の恩恵で第一次大戦ではこれらの国の軍隊は日本の海軍に守られて無事欧州戦線に到達したにもかかわらず、である。

日本とイギリスの利害が一致するのはシナ大陸の利権である。同盟締結の目的もそれであった。英連邦のインドはまた色合いが日英で違う。日本は表立ってではないが、イギリスからのインド独立運動に同情している。イギリスはこれらの独立運動家を弾圧している。

横に同盟を見るとこういう難しい問題が山積していた。英知を集めた、怠らない日英同盟というエンジンの整備が休むことなく行われなければならない。そうして最初のうちは行われていた。

次回は縦に見て同盟の変化を見る。いずれも平間氏の著書からの要約である。