ブッシュアメリカ大統領は、9.11以降の戦いを「これは戦争である」と大見得を切って、時には明確な規定もないままテロと表現し、時にはこれは戦争であるとしてその後の派兵や殺戮の言い訳に使い分けている。テロと戦争に違いはどこにあるのだろう。
戦争とは国と国の戦いであるが、ヴェトナムでは宣戦布告すらなかった。しかし、国家のかかわりが鮮明であったために、兵士の扱いが曲がりなりにも国際法を傍らに置いていた。戦う人間が兵士であれば、捕捉されると捕虜として人権を認められ、終戦まで収容されるのである。
ところが、テロとなるとこれは国内法で扱われることになる。それぞれの国に用意した、国家に対する反逆罪などが適用される。国によっては、人権すら認められない犯罪者として時には、拷問が待ち受けている。アフガニスタンのタリバンがガンタナモで拷問を受けたり、チェチェン人が拷問を受ける理由を国家は持ちたいのである。
国家は戦いとして「戦争」をするほうが都合がよく、国内を統治したり敵を捕らえる方策として「テロ」が便利なのである。
戦争には終戦があるが、テロとの戦いには終結がない。なぜならテロの規定がなく、為政者はいつまでも何処かにテロリストがいるかも知れない国家の方が、統治には便利だからである。
イギリスの例を挙げるまでもなく、アルカイダは組織ではなく思想である。あるいは宗教である。これを武力などで抑えることができるわけなどないことを、今世界は知るべきである。