さようなら小泉潤一郎さん。彼方の内閣はなんとも、下品な内閣だったような気がしてなりません。何かを決定したいときには、座った目つきでしゃべるこの総理に、品というものを感じることがついになかった。酔っ払いに論戦を挑まれたときのような、凄みと居直りが反論を封じていた感がある。
彼には若い頃から、思いつめていたことをやり遂げた快感があるかもしれない。タカ派とハト派という括りでは、タカ派でありながら支持者が離れることが少なかったのは、金にはクリーンであったことと、保守党が改革を訴え野党がそれに反対する構図を、保革逆転であると演出したことにある。
しかし何よりも、市場経済優先のシステムを前面に出したことは、地方や弱い産業に大きなダメージを残した。農業が主産業である田舎は、この意味でダブルパンチにあったようなものである。食料の自給率を上げるといったことなどすっかり忘れている。覚えていないのか、とぼけているのか新しい農水大臣は就任でこのことにはまるで触れることはなかった。
この内閣を一つ評価するなら、スキャンダルがなかったことである。これまでは、閣僚の誰かが失言や妄言あるいは金にまみれたスキャンダルで、失脚が必ずあったものである。この内閣にはそれがなかったことは、一応評価はしたい。
さよなら、小泉純一郎さん。彼は不条理をイラクに置き忘れたまま出て行った。次のお坊ちゃんは何をしでかしてくれるのかな。