そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

「クミカン(組合勘定)」ってご存知でしょうか?これをなくしたい政権の意図

2016-12-08 | アベノミクス
安倍政権は先ごろ農協改革の一環として、クミカン(組合勘定)の廃止を掲げていた。農家以外の人はあまり知られていない、農協の組合員の金の出し入れのほとんどを、農協の責任で行うシステムである。農家でも本州方面の農協にはなく、北海道の農協特有のものと言われている。開拓農家が多く、農家が金がなくても農協が融通を利かせるというのが、元々の趣旨であろう。しかし、それを嫌う農家もたくさんいて、現在では北海道でも3割の農協は廃止している。が、当地のように酪農地帯では収入に季節的な変動がほとんどなく、毎日の収入が少ないような地帯では農家は重宝している制度である。
農協は, ① 農家経済の計画化、② 組合員取引の集中管理、③ 事務の能率化のためとクミカンを位置付けている。
実際に毎年今の時期、12月には収支を出して農家に様々な指導やアドバイスをしている。農家も今年は何とかなったとか、不味かったとか指標にしている。
ところが農家にとっては便利であるがために、農家から経営感覚を奪うという大きなデメリットがある。本来であれば、少なくとも毎月収支を見なければならないであろうが、のんびりとした農家は年一回、この時期しか見ない。しかも結果、収支の最後にしか目をやらない。要するに農協任せということである。
もう一つが、農協が何でもクミカン回しにするため、組合の意志がそのまま適用されることが少なくない。周辺産業も、クミカン落としで請求を片付けるので、手数料さえ払えば取り損ないがない。農協も黙って金が入ってくる。農協は政府の補助金の受け皿にもなっていて、与党支持者が多いのもそのためである。
農協はそれをいいことに、農家側に立たない支払いでもお構いなく落とすことが珍しくない。組合員への説明などまったくなく、まるでクミカンを打ち出の小づちのように扱う怠慢さは、制度に乗じた驕りともいえる。

安倍政権がクミカンを、今人気の小泉進次郎を使ってなくそうというのであるが、目的は金融市場の開放である。農家は家族の保険や機械や車の保険などすべてを、クミカンに回している。農家によれば住宅の支払いさえも、クミカン回しにしているところもあるくらいである。経費の中で賄うというのであろう。
預金も貸し付けの資金決済もこれで済ませている。要するにクミカンのおかげで他の金融機関が、農家に入る余地がないのである。クミカンはその象徴的な存在なのである。
小泉政権以降、地方の小銀行はなくなるか合併し、郵政も民有化された。私たち地方に住むものにとって、金融機関としての農協の存在は極めて大きい。当地には銀行がなく、農協と郵貯と地方の信用金庫だけしかない。
農協は金融機関として地方では欠くことができない存在となっている。特に車の任意保険は、事故などの対応が極めて迅速できめ細かい対応してくれる。地域に密着しているからである。
安倍晋三は郵政民営化の二匹目のドジョウを、農協に課そうとしているのである。その一方で、政敵をあてがった地方創生などと、取り組みもしないお題目を掲げている。地方にとってきめ細かく対応してくれる郵便局と農業協同組合は欠かすことができない存在である。郵便局にそうした自覚がなかったように、農協にも組織保全が強くみられるのも政府に突き込まれる要因である。
コメント (3)
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