関西電力の八木誠会長や岩根茂樹社長ら役員6人が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(今年3月に90才で死亡)から金品を受け取っていた。
関電は記者会見を開き、社内の調査委員会の調べで平成23年から30年までの間に20人が、3億2千万円相当を受け取っていた事実を明らかにして謝罪した。岩根社長は「当社としてはコンプライアンス疑義をもたれかねないものと考え、厳粛にうけとめている」と訳の分からない発言をしている。岩根社長は頂いた、社長は「就任祝い品が高額品だったので、返そうと思っていた」と述べてもいるが、バレなければそのまま頂くつもりだったといった方が、誰もが納得できたろうに。
これまでに八木会長や岩根社長ら役員6人は計約1億8千万円を受領していたことが分かっている。
ところでその金はどこから出たのかということである。地方の助役にそんな金もあるまいし、手持ちの山林や不動産などを処分した話ももない。そもそも、そんな大金を関電のトップに贈与する理由が、一介の助役にあろうはずもない。この直前に、原発と関連施設の建設費が一気に高騰している。建設会社からこの助役は約3億円を受け取っていたが、所得申告がされていなかったと、金沢国税局が追徴課税をしている。
実体はこれからの捜査を待たなければならないが、上の図朝日新聞の表が、おそらく正しかろう。
工事会社に水増し請求させて、その分発注者トップが吸い上げる。建設会社は次の新たな工事の注文を受けることになる。田沼意次の時代から続く、水戸黄門が征伐する古典的な悪事である。
「八木さんも岩根さんもお友達で、うっかり変な悪口も言えないし」と経団連の中西宏明会長が記者会見で述べている。関電最大の株主となる大阪市長の松井も、同様の発言をするか見ものである。いみじくも東電経営者が、史上最悪の原発事故を起こしておきながら、無罪となったばかりである。
今回発覚した関電の事件は氷山の一角にすぎない。同類の御接待やもてなしや金銭の授受など、限りなく権力側に近い腐りきった電力会社で、恒常的に行われているに違いない。