そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

コロナ騒ぎのどさくさ紛れに種苗法が改定される

2020-05-16 | 食料自給率

世界は新コロナ騒ぎの中で、世界各国は自個々の主要食糧が価格の高騰などでの輸出制限を課している。食料は平和な社会にあっては戦略物質として、非常時にあっては国民を守るため定量を求められるものである。食料は通常の商品とは大きく異なる。必要量の3割を切ると飢餓に陥るが、倍は食べることができない。その上保存が基本的にできない。食料は国家単位でまかなうのが原則であり、安全保障の基本である。軍事に特化した思考しかない安倍晋三はこのことが理解できない。
歴代日本の政治は、1961年の農業基本法の出来るまでは真剣に日本の食料自給を基本政策としていた。高度成長に倣ってお金、経済収支を金本にするようになって大きく変化した。道路が立派になり得体のしれない構造物が、減少する人口と裏腹に乱立する。機械化と土壌改良は基本的に農業とは関係ない。補助金まみれの高い農機具用品は、大量の補助金によって生産量が支えられている。輸入農産物は容赦なく増えて、農村を席巻する。
とりわけ小泉・竹中改革によって、農業はゴミのように扱われるようになってしまった。農業政策は生産性、しかも持続を欠く一時の金銭収入の奨励と、周辺産業の政治的補助ばかりが目立つようになってきた。要するに、農業周辺産業が潤うばかりの姿が、農村に残った。
安保法案が騒がれる最中に、種子法の廃案が通過した。そして今、新コロナで日本中が騒ぐ中、「種苗法改正案」が提出された。戦後日本の食料を守ってきた人たち、組織、研究所の実績や党濾器品種を、私的な組織即ちはアメリカの巨大産業に売り飛ばそうというのが、今回の種苗法である。 
日本は戦後の食糧難の経験から、都道府県はその地域にあった農産物を県民に提供する義務が課せられていた。お米屋芋などや20世紀梨や枇杷など公共品種が日本人の胃腑を満たしてきた。利益を求めない種子は地道に日本の食料の根幹をなしていたのである。
今回の法改正で、農家が自主的にタネを取って次年度以降にまくことなどを禁止されることになる。所在地の気候風土に合った種子の開発の自助努力を、法律が禁止するのである。代わって見た目に収量の追いものや、特定の農薬を使用しなけらばならなくなくした、遺伝子組み換え種子などアメリカから無制限に入ってくることになる。彼らには表示義務はないからである。ヒトの健康も土地の持続性も環境への影響なども考慮されることがない。
こうした話をすると、「農家は大変だね」とよく言われるが、間違えないでいただきたい。困るのは消費者である。農業問題は国民すべての健康問題であり、環境問題であり、医療問題であり、最も翁経済問題なのである。
都会の消費者は、金出せが食い物はいつでもどこでも入手できると思っている。こんなパンデミックで自宅に自粛しているときにこそ真剣に考えていただきたいものである。
コメント (2)
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