そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

海洋の酸性化が人類の経済活動で深刻になる

2024-12-23 | 環境保護と循環
海洋の酸性化がある意味最も深刻な温暖化ともいえる。地球は水球と呼ぶべきと主張する人がいるほど、水の星である。その大部分は海水であり、大気中のCO2の30%を固定化すると思われている。
人間の活動が活発になり、海水温の上昇とC02が増加が同時進行し、CO2吸収量がIPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書(IPCC, 2021)によると、全地球平均の海洋表面pHは、100年前にはpH7.9~8.0であったものが1950年で8.1に低下しこの半世紀で8.0から7.9程度まで下がっている。
現在の人類の活動がこのまます進行すれば、今世紀末には最悪7.6までになると思われる。0.1下がるのに100年要したがこの100年ではその倍以上が進行し、その先の50年で人類対応しなければ、数倍の水素濃度が下がりpH7.6程度まで下がると予測される。上の表の赤線グラフが最悪のシナリオであるが、それさえ危ういと思いえる。
酸性化が進むと、海洋石灰化生物(貝・甲殻類など)に大型魚類が大きな影響を受ける。そして何よりも珊瑚が大きなダメージを受けることになる。その結果、大気中のCO2を海が取り込めなくなり、更なる温暖化が進行することになる。
また、海洋表層で吸収された二酸化炭素が、海洋の循環や生物活動により海洋内部に運ばれ蓄積することによる、海洋内部での酸性化も更に進行することになる。
もっと深刻なのは、海の変化を多くの人や期間が実感していないことで、海洋の酸性化への対応が緩慢であるということである。その対応も極めて効果が薄く、多くの主に経済活動を止める対応であって抵抗も強く、酸性化は任せるままの状況にあると言って過言でない。それでいて、影響は極めて広範に及び、海産物などの経済的損失も大きい。
海洋の酸性化は今後止まることもないものと思われる。世界各国の政治的対応が求められる。

海洋酸性化のメカニズム
二酸化炭素は、海面を通じて大気と海洋の間で活発に出入りしています(海洋による二酸化炭素の吸収・放出の分布)。海洋中に溶けた二酸化炭素(CO2)は炭酸(H2CO3)となります(式①)。炭酸(H2CO3)は、海洋中では水素イオン(H+)が解離した炭酸水素イオン(HCO3-)や炭酸イオン(CO32-)との間で、式(②と式(③)で表わされる反応により化学平衡の状態を保っています。大気中の二酸化炭素が増えると、海水に溶け込む二酸化炭素も増え、式(①)と式(②)の反応が下に進んで、水素イオン(H+)が発生します。発生したH+の大部分は式(③)の反応が上に進むことにより消費されますが、一部のH+はそのまま残り、CO32-が減少します。結果としてH+が増加するためpHは下がります。(気象庁)

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