国連食糧農業機関(FAO)が3月の世界の食料価格指数(2014~16年を100とした指数)が過去最高の159・3と前月比17・9上昇したと発表した。2カ月連続で過去最高値を記録している。
上の表を見れがわかる通り、昨年夏ごろから徐々に価格高騰していたが、年が明けると一気に160%に上がっていることが判る。
FAOは今後数カ月にわたって穀物輸出が停滞し、最悪の場合には世界で約1300万人が栄養不良に陥るとの試算を出している。途上国では貧困に拍車がかかり、飢餓が広がり、政情が不安定化する国が増えかねないと警告している。
この表を見るとわかるが、Covid-19による影響の下地があるとはいえ、明らかにロシア・ウクライナ戦争が大きく影響している。日本の食料自給率が37%でなんとも心もとないが、農政となるともっと酷いものである。
日本農業政策は、政府が決めた制度への投資、金をふんだんなく投資するのである。解り易く言えば、日本の農業は規模に問題があり、規模拡大と効率化を追い続けてきた。効率化とは金の問題で、規模拡大と相まって、農薬化学肥料に依存し機械を用いる農業の工業化に他ならない。
お金の効率や工業化なら都会の方が有利である。人々は農村を捨て農業を放棄し過疎化と高齢化が始まって担い手がいなくなる。21世紀になって、国家が大規模化を推進する国は日本だけである。世界は家族農業、小規模農業、有機農業へと大きくシフトしている。
外部資本への依存を高める日本の農業は、このコロナ禍とロシア・ウクライナ戦争で決定的に競争力を喪失している。仕方なくお金でつまり補助金で農家を留めるのであろうが、それも限界である。
それではと海外から買うと思ってもそれもままならなくなってきた。スペインやポルトガルでは農民が街頭に出て、農薬農機具飼料の高騰を訴えている。日本の農民にそんな力はない。問題意識もない。
ドイツでは食料価格が50%上昇している。天然ガスをロシアから切るとさらに深刻になる。
アメリカですら消費者の80%以上が食肉や青果物の値上げに反発し、ロシア制裁で食品価格がさらに高騰するのは必至であると訴えている。
下の写真はスペインで先日行われた15万人の農民のデモである。