そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料自給こそが最大の安全保障である

2023-04-28 | 農業と食

鶏や豚や牛に家畜への大量の穀物給与は、給餌が機械化しやすいことがあって、集約的な飼育が可能になり大規模にし易い。アメリカ飼料穀物協会の強力な戦略に乗って、先ずは鶏で、次は豚肉と牛肉で、そして乳牛へと大量の穀物が飼料用として輸入されて来た。今や人の食べる穀物の倍量を輸入されている。国内生産の穀物はコメがほとんどでるが生産量が800万トン足らずであるが、飼料用穀物は1700万トンほどである。人用の小麦などが800万トンほど輸入されているため、穀物自給率は20年前から25%程度と変わらない。輸入穀物のほぼ60%が家畜用の飼料用穀物である。
下の表輸入する食料の、フードマイレージという重量に距離を乗じた係数である。日本は圧倒的に高いのは、地球の裏側から思い穀物を大量に輸入してくるからである。
輸入食料のフードマイレージは、自給国内食料のフードマイレージのほぼ倍量になる。輸入フードマイレージの65%を穀物が占めている。
輸入飼料用穀物のフードマイレージは、国内の人間様のフードマイレージを上回っている。輸入穀物を大量給与する大型畜産は、地球温暖化に大きく貢献しているのである。
輸入飼料穀物のほとんどは、アメリカのトウモロコシである。アメリカでの国内生産量は3億5千万トンであるが、人の口に入るのは10%程度である。75%は家畜飼料とバイオ燃料として使われている。全てが遺伝子組み換えトウモロコシで、食用でないこともあって、肥培管理など明記することもない。危険な飼料といえるが家畜の生産量が上がり、何よりも無関税で安価である。
ロシアのウクライナ侵略や円安で、飼料用穀物は20~40%値上がりした。値上がりならまだしも、やがて供給されなくなる。このところの値上がりで給与量が減り、乳牛の病気はうんと少なくなっている。ちょっとばかり健康になってきたのである。
酪農は危機状態にある。それは事実であるが、大量に穀物を給与し大量に牛乳を生産する人たちの危機である。それは乳業会社であり、輸入穀物業者であり、機械屋、電気屋、水道屋、農協、獣医師たちなのである。健全な酪農家はそれほど起きな打撃を受けているわけではないが、地域は一気に精気を失っている。農業は健全な循環と生態系を戻すことによってしか生き残れない。それは農家の問題ではなく、消費者の問題であり、地球全体の問題でもある。


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