今日は67回目になった、広島原爆の日である。NHKは執拗に、あるいはこだわりを持って毎年この日は、朝8時から生で式典の中継をする。このことは高く評価したい。各メディアが新しいことを求める毎日に中にあって、NHKの矜持である。
昨年の東日本大震災から、2度目の記念日である。この間政府の原発事故への対応と、姿勢が混乱した一年でもある。
式典で、松井一実市長は原爆被害の悲惨さを述べた後、「市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策の一刻も早い確立を」と訴えた。
直下に活断層がある大飯原発再稼働の必要性を、国民の安全のためにとした、野田首相への皮肉とも取れなくもない発言
である。
松井市長は、長年反核運動に携わっていた森滝市郎氏の言葉を引用し、「核と人類は共存できない」と訴えた。原発をはっきりと意識した発言である。
これに対して、うつむきながら小さなメモを読み上げた野田ではあるが、「脱原発依存の基本方針の下、中長期的に国民が安心できるエネルギー構成の確立を目指す」と、一応脱原発らしきかの発言した。
そりゃおかしいゼ。大飯原発が安全と誰も言っていないし、対策もやっていない。なのに再稼働する? 脱原発が基本方針なら、再稼働などあり得ないことである。この男は平気で矛盾することを述べる、サイコパスである。
原発と核兵器は同質のものである。日本は、自国のエネルギー政策をどうするかなどと、そんなレベルで論議する立場にない。
唯一の被爆国である日本は、今こそ反核を世界に向けて発信する立場でなくてはならない。野田の発言は余りにも低レベルであり、中長期どころか現在の立場や視点すら持たないものであるといえる。