NHK教育テレビの「福島のメル友へ長崎の被爆者より」を見た。修学旅行で知り合った、福島の女子高校生が長崎の被爆者と、メールを通じて交流し成長する姿を追ったものであった。
長崎の被爆者は、福島の高校生たちに励ましの手紙を書き、何らかの支えになろうと思い立つ人。こうした動きに異論を持つ被爆者。やっと集めた被爆者たちの手紙を「不安を与える、煽る」との理由で、学校にとどめ置いた教師たち。震災がれきを拒否する、被爆者連盟の人たち。
どれもが、背中に不条理を感じながら、懸命にそれぞれの立場と考えで、被爆の事実と向き合っている。
福島の高校生たちが抱く、放射能被ばくによる不安が彼女たちに重くのしかかっている。福島を訪れた長崎の被爆者たちと、女子高校生たちの意見交換があった。
「私たちは放射能のモルモットになっている」と、持って行きよう
のない不安を訴え、甲状腺検査を拒否する人もいる。
元高校教員の長崎の被爆者は、自らの被爆手帳を示しながら「その気持ちはわかりけど、今年だけのものではなくこれから先、10年も20年も30年それ以上も、付き合っていかなければならないことです。向き合うことも大切です」と、諭していた。
数日後彼女たちから、「これから私たちがやらなければならないことを教えてください」との、メールが届いた。
長崎の高齢の被爆者は、「私の気持ちが伝わった。とても嬉しい。彼女たちに、何ができるか真剣に私も考えようと思っています」と、嬉々とした顔で述べていた。
放射能が降り注いだ福島の若い人たちの将来への不安の重みは、都合のいいテレビ討論を公開する、責任逃れに終始する東電には届いていない。