米軍兵の自殺者の増加が止まらない。07年には115名だったのが08年は143名にもなった。年が明けると、1月だけで24名にもなった。これはこの月、イラクとアフガニスタンで戦死した兵士16名を大きく上回ったことになる。
これは現役の兵士の自殺者数である。原因はそれぞれあるようだが大きくは、うつ病と心的外 傷ストレス(PTSD)によるものであるとされているようである。これには長引く戦況と作戦に伴う、心的な負担が大きいと推察される。
それに加えて、困難な戦況に伴い長引く派遣と過酷な作戦業務があげられる。そもそも、何のために戦っているのだという、心のよりどころの薄い戦いである。彼らが悩むのは当然で ある。
更にこれは現役兵士の自殺者の数である。公式な数字はなく、また自殺の規定と兵役との因果関係などが複雑であるためであろう。兵役にかかわる自殺者に限定しても、これとそう変わりない数字があるものと思われる。
戦争のもう一つの犠牲者がここにある。戦場での死亡ではないところが、残された家族のことをおもうと、さらに悲惨である。
オバマ大統領はイラクからの撤退と同時に、アフガニスタンへの派兵増強を打ち出している。これを意識してか、キルギス共和国のマナス米軍基地が閉鎖された。アメリカにとっては、アフガンへの北からの足場を失うことになる。
アメリカ民主党は、これまでの政治姿勢を見ていると原則的である。例えば、東京裁判を否定したり、靖国神社への参拝や慰安婦問題などについては、太平洋戦争の否定につながるも のとして認めることはないだろう。
同様に、日本に対しても極めて原則的な外交を強制することが考えられる。例えば、アフガニスタンへの自衛隊の派兵である。韓国にはすでその要請がある。
オバマはブッシュの負の遺産の処理への同情を受けながらも、アメリカの覇権主義は手放すことがないように動くであろう。日本は立場の原則性を主張し、アメリカ追従から脱するのに良い機会である。
名目はどうあれ、大量の兵士が自殺する愚かな戦争を継続するアメリカに、日本は手助けすることがあってはならないのである。