ロシアにいいくばくかの言い分があたとしても、戦争は殺人行為であり略奪行為であり侵略行為である。為政者たちが並べ立てる戦争の理由が正義であるならば、自らの近親者もしくは戦争理由を正当化し利益を得る者から銃を持たすべきであろう。
ところがプーチンが最前線に送る人物や民族は、国家の抑圧に置かれた人たちばかりである。シリア人で近親者をすべて亡くし、義足の兄弟のためにロシアの応募に銃を持った青年がいた。ほとんど収入のない俄か兵士にとって、ロシアが示した給与の26万円は天文学的収入である。
ところがロシアに着いてシリアの知人からあった電話は、「来るな」の一言である。友人はウクライナの最前線に置かれ、金も払われていない。同僚はほとんど死んだ、そして来るなと一言最後に言った。
貧困に喘ぐロシア国内のモンゴル系少数民族の若者たちも、高い比率で帰還していない。モスクワなどの都会のロシア人たち、プーチンが誇り高く戦争のに理由を掲げるロシアン人たちは都会に留まって、プーチンの戦争を観戦しているだけである。
沖縄戦を奇跡的に生き抜いた元日本兵の方に、長時間お話を伺ったことがある。沖縄戦で北海道出身の兵士はほぼ1万人亡くなられている。その中にアイヌの方々がかなりおられたという。何処でも真っ先に前線に出され、多分一人として生還していないのではないかと、元日本兵は語った。
ロシアはソビエト時代にアフガニスタン侵攻を行った。10年の戦いで得るものがあったとは思えないが、この時にはロシア国内の多くのイスラム系民族を最前線に送り出している。
チェチェンの独立運動を武力制圧したプーチンに従順な、チェチェンのカディロフ首長のようにここぞとばかりに、プーチンへの凶暴な軍事行動でアピールし点数を稼ぐグループもある。チェチェンは変質した。
体のいい民族浄化政策のように見える。戦争はいつも弱者により多く負担をかける。