シークエンサーの発達には凄まじいものがある。とりわけコロナの世界的な蔓延がそれを加速させ、遺伝子解析が驚異的な飛躍をした。それがそれまでの、人類学が頭骨などの形態や大きさ、それに様々な類似性と非類似性によって人類学は権威者によって築かれていたが、それを遺伝子解析はガラガラと崩した。それは今でも現在進行形である。
人類学の権威、長年の常識と思われた通説さえも、若い理系の研究者がいとも簡単に切り崩す現象が起きてもいる。
「人類の起源」は一昨年の暮れに発売されて、驚異的な販売部数重ね、この種の科学本では珍しく版数を重ねている。私は発売とほぼ同時に購入したが、現在10版を重ねている。驚くべき現象である。
著者の篠田謙一氏は遺伝子解析の国際的第一人者で現国立科学博物館館長である。 人類の来た道を辿ることで、民族を徒に主張し合うことの無意味さを学んでほしいと思う。
プーチンが主張するロシア民族とは、化学的には全く峻別不可能なたった千年足らずのものでしかない。全世界の民族に解いてもほぼ同じようなことが言えるのである。
数は同署からのものであるが、約1万年間にドニエプル川氾濫原の現在のウクライナ周辺のから起きたヤムナム文明は、南へ北への広がっている。僅か1万年前のことである。日本で言えば縄文文化の切れ目頃であるが、それを全く異なる存在として、武器を取り殺戮する理由になるのかと思われる。
本書からホモ・サピエンスは一種であること、そして程なく滅亡する存在であることを学んでいただきたいものである。