金融危機が世界を巡っている。世界的な株価の暴落は歴史的事件である。G7は公的資金の投入を行うことで、その沈静化を図るつもりである。
急激な株安を受けて、時折聞かれる異質な言葉がある。「実態経済」への波及を恐れるというものである。実体経済とは何なのだろう。今起きているのは、株を巡るマネーゲームの危機である。つまり、金融危機とは「非実態経済」の危機でしかないのである。
マネーゲームとは、実体経済を担っている一般社会の経済活動を、金を持っている連中が評価する方式のことである。汗をかかない連中の評価が、株価によって表現させるのである。まさしく非実態経済である。
「市場がすべてを決定するとする」これは、新自由主義の基本理念である。市場とは、実体経済の世界だと思っていたらそうではないようである。むしろ金融社会の方が世界を握っていることが解った。
G7が公的資金の投入を決めたことは、一つは社会的なパフォーマンスを市場に示すことであったが、もう一つは新自由主義の破たんを認めたことであると言える。公的資金を金融機関に投入するのは、そもそも新自由主義の原理に反する。
日本は公的資金の投入に乗りきったとされている。その後長く続いた「いざなぎ越え景気」は、結局は勝ち組の勝利宣言でしかなかった。働く貧困層を大量に生み出すことで、彼らは勝利者となったのである。
「政府は小さくしなければならない。経済は市場間が決める」と言ったのは、小泉・竹中新自由主義者である。そのために構造改革が必要だと、僻地から郵便局を奪い格差社会を作った。
貧者から集めた公的資金(税金)を、勝ち組のお金持ちに与える構造は、新自由主義者にとっては忸怩たる思いがある。ブッシュも渋々認めた形である。金融危機は、新自由主義の破たんしたこと語っているのである。