詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(114)

2021-04-22 11:31:14 | 『嵯峨信之全詩集』を読む

人生とは
<blockquote>
人生とは
ある種の不思議な遠さである
</blockquote>
 と書いたあと、これを、こう言い直す。
<blockquote>
そして黄金の国の彼方に横たわる一地方である
</blockquote>
 しかし、これでは「言い直し」にならない。やはりわからないままである。「黄金の国」が何かわからないし、それがわからなければ「彼方」もどっち方向かわからない。
 わかるのは、「そして」という接続詞だけてある。接続詞に意味はないが、接続詞は「方向」を持っている。「しかし」と「そして」は方向が逆だ。「あるいは」は逆かどうかはわからないが、いま向いている方向とは別の方向をあらわす。
 この詩から何か「意味」を引き出せるとしたら、嵯峨は、ここでは「そして」をつかってある方向に動こうとしているということだけだろう。その「そして」は「彼方」へ向かうのである。つまり、とどまらない。
 止まらずに、ひたすら、一つの方向を目指す。詩を目指し続けたと読み直せば、それは嵯峨の人生になるだろう。

 

 

 

 

 

*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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