* (たいまつの火をかざして四、五人がぼくの前を過ぎていつたことがある)
<blockquote>
それはぼくと関りのない世界のできごとで
記憶もなく想像もない
</blockquote>
この詩行は矛盾している。「記憶がない」なら「過ぎていったことがある」とは書けない。また「想像できない」なら「ぼくと関わりがない」とは言えない。「関わりがない」のが「世界」なのか「できごと」なのか、この断片からではわからないが。
たぶん、「たいまつの火をかざして四、五人がぼくの前を過ぎていつたことがある」ということばを書きたかったのだ。それは嵯峨の記憶ではない。また、想像でもない。ことばが、突然、嵯峨にやってきた。あらわれたことばは、書かないことには消えてしまう。だから、それを書いたのだろう。
*
詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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