「テルモピュレ」。戦争での「正義」がテーマ。「連中は正義でひたむき」ということばが前半に出てくるが、後半に次の一行がある。
けっきょくエフィアルテスのたぐいが出てきて、
「たぐい」ということばが、とてもおもしろい。「そんなヤツとは同類ではない」という侮蔑、怒りのようなものが噴出している。
もし彼が裏切り者ではないときは、「たぐい」ということばは不要だ。
「正義」には「たぐい」というものはない。それは、「ひとつ」なのだ。それが「ひたむき」という意味でもある。
だから「ひたむき」が「たぐい」の伏線にもなっている(予感させる)のだが、この呼応のなかには戦士との「一体感」がある。中井(カヴァフィス)は、歴史家ではなく、この詩のなかでひとりの戦士になっている。