毎日のように新しいニュースが報道され、先月起こった大きな事故や出来事もうっかりすると忘れてしまいそうになる。
しかし、この映画の題材になった各種関連事項は、「忖度」あるいは「お友達関係」という言葉が主要キーワードとなり、私の中でも印象深い出来事だ。
この映画はそのキーワードを中心に、タイトルともなっている新聞記者役は、シム・ウンギョンが、そして彼女の情報を渡すことになる内閣情報調査室の官僚を松坂桃李が演じて、誰でもが「ああ、これはあの出来事」と簡単に思い出す出来事を、これでもかという位になぞっていく。
新聞記者として事実を報道しようとする葛藤はあるが、映画を見ている側としては、その中に時間との闘いという緊迫感は思ったほどは感じられない。
また、情報の出方をコントロールしようとする内閣情報調査室側も、真綿で首を絞めるように淡々と情報の出方を調整しようとして恐ろしくはあるが、これも緊張感が高まるという程でもない。
映画としての面白さを、起こった出来事をなぞることに頼りすぎているのではないか?SNSで情報を流す場面などは、もうちょっと描き方を工夫する余地があったのでは・・・と思える詰めの甘さも感じられる。
ただ、この映画が製作されたこと、公開時期、そして多分難航したのであろうキャスティング等など・・・スクリーンに見えていない事を色々考えると、それも含めて興味深い映画だとは思う。
追記:
この映画を薦めてくれたのは中国語の先生だった。
先生は「(中国の事を情報を統制しているなどと指摘されることが多いが)日本も同じことをやっているじゃないの!」と私とは全く別の点に興味を覚えたようだった。コントロールする規模が違うのではと思ったが、「日本でも〇〇建設(今でも色々取り沙汰されている件だ・・・)に反対している人のリストを政府はちゃんと持っているそうよ。(確かにこの件は特別だろう・・・持っているといわれても不思議はない・・・)そのリストを持っているということは、日本の政府も皆の個人情報を持っているということでしょう?中国だけ個人情報を全部持っているわけじゃないのよ」と言う。
日本の場合、なんでもかんでも情報を入手しているとは思えないし、そもそもその量や規模が全く違うではと思ったのだが、それをうまく説明する自信はない。とにかく先生は、「日本も中国と一緒に皆の情報を持っており、情報を操作しているのは日本も一緒」と非常に納得している様子だった。