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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

ソードアート・オンライン 第26巻 『ユナイタル・リングV』 感想: さすがにイスタルって新ヴィランは、ムタシーナと裏でつながっているんだよね?

2021-10-10 00:58:02 | SAO/AW
25巻の発売が2020年12月なので、実に10ヶ月ぶりに刊行された26巻。

前巻の最後に登場した石化された人びとは、やはり、セルカ、ロニエ、ティーゼの3人なのか?
そうだとして、彼女たちは無事、石化を解かれ、キリトたちと再開することはできるのか?

その一方で、ムタシーナが暗躍するユナイタル・リングの攻略はどうなるのか?

アンダーワールド(UW)とユナイタル・リンク(UR)の話はいつまでも平行したままなのか?

ということで、とりあえずスペース、空けておきます。

























































で、ほぼ、1年ぶりの刊行だったわけだけど、それなのに、さすがにこの内容はないなぁ、というくらい、盛り上がりに欠けるつくりだった。

わりと、SAOの中ではワースト側の出来だと思った。

正直に言えば、作者は「手抜き」を覚えてきたな、って感じ。

まぁ、もう一生、SAOで食っていくつもりだろうから、完全に守りにはいっているのだろうけど。

要は、ワンピース並みに、遅々として進まず。

そして、複数のシーンがとっちらかったまま、描写されるにとどまってしまう。

今回は、とにかく構成が悪い。
キリトが中心のアンダーワールド(UW)編と

シノンとシリカが中心のユナイタル・リング(UR)編を

平行して進める意味がまったくなかった。

これはさすがにひどいかな。

2つ以上の場面を舞台にして平行して物語が進む展開は、それが最後に何らかの形で一つの地点に収束する、と期待できるからこそ、読み進めることができるのだけど、今回、その期待は完全に裏切られた。

それくらいなら、UWだけをもっとサクサク進めて欲しかった。

今回、キリトはエオラインと二人で、ロニエたちの石化を解くために、惑星アドミナに向かったのだけど、この石化の解呪の獲得だけに物語を絞って欲しかった。

そして、URで使ったページを使って、石化が溶けた後、ユージオ似のエオラインの存在に当惑するティーゼの話まで進めて、そのまま一気にエオラインのバックストーリーまで明かしてしまったほうがよかったのではないか。

だって、この石化解呪の話に、URのシノンとシリカの奮闘は一切関係なかったのだから。

完全にページの水増し用の話でしかない。

しかもURの蜂モンスター退治って、全然、面白くなかったのだもの。

むしろ、シリカたちが、完全にヒロインとしては2軍落ちしたことを明らかにするような内容で、それって誰得?って思ったものね。

特に、シノンが2軍落ちしているのがヒドイ。

もうすっかりかつてのシノンが占めていた場所をアリスが占めるようになってしまったからね。

いくら、この先の知性間戦争の章で、アリスが不可欠だからといって、キリトのツートップをアスナとアリスに絞る必要もないんじゃないかな、と。

そういう意味では、いい加減、ユナイタル・リングも5巻目を過ぎたのだから、この物語の中で、どうして平行してアンダーグラウンドの話を進めないといけないのか、そのあたりのことを明らかにしてくれないと、あれ、これ、なにをめざしていたんだっけ?ってことになる。

もちろん、UWのことをキリトたちが気にかけるのは、UWが永久に続くためにはUWの物理資産を回し続けていくための地位をUWに与えることが必要で、その点で、時間がないことはわかるのだけど。

で、そんなところで、キリトたちからすると青天の霹靂として、URのゲームが始まってしまったことも理解できるのだけど。

でも、その2つを平行して進めるなら、もう少し、刊行ペースをあげてもらわないことには、何を読まされているのか、見当がつかなくなってきている。

完全に、アクセルワールド(AW)の方の悪循環と同じ構図にSAOも落ち始めている。

SAOとAWのクライマックスが知性間戦争にあることがわかっている分、物語の展開が相互に持たれあいながらでしか進められなくなってきているところで、

SAOの本編まで、内部でUWとURの二足のわらじを履くことになってしまったら、ホント、遅々としてし進まず、って感じになる。

その一方で、作者としては、むしろアインクラッドのやり直しのプログレッシブを書くほうが、どうやら筆の進みがいいようで、きっと、作者本人も、アインクラッドのやり直しを書いている方が楽しいのだろうな。

今回、途中で、プログレッシブの方の内容をアスナがふと思い出す場面も加えられていたから、少なくとも、このユナイタル・リング編のSAOは、プログレッシブを本編として組み込んだものとして書かれていることも明らかにされたし。

つまり、UR編からみたら、プログレッシブこそがSAOの正史という位置づけ。

となると、プログレッシブもまた、URと持たれあいながら進むことになるから、本当に物語は進まなくなる。

こんなことなら、プログレッシブは、平行世界の外篇として、どこかの漫画家に、二次創作として描いていてもらったほうが良かったのではないだろうか。


もっとも、どれほど相互に持たれ合う展開になろうとも、昔のように、3ヶ月後とか4ヶ月後に1冊、というペースを保ってくれればいいのだけど。

でも、そのペースはもう破綻しているのははっきりしている。


しかも、今回の話では、URのムタシーナに加えて、UWの側にも、イスタルという悪役が新たに登場したわけで。

UWの方では、今度はイスタルの目的は何か、みたいな話にも行ってしまう。

さすがに、ムタシーナとイスタルは、どこかでつながっている、という展開で落ち着くものと思ってはいるけれど。

さすがに、そうでもしない限り、平行してUWとURを進める意味が、ホントになくちゃうから。

でないと、偶然にもキリトたちが助けた神獣が、実は星王から石化の解呪方法を託されていた!なんて、ご都合主義を許しがたくなるからね。

ホント、作者、手を抜きすぎだよ。

だって、つまるところ、今回のUR側の動きって、シノンとシリカが、キリトとアスナの留守を守って頑張った!ってことだけだもの。

それがどれだけの意味を今後持つのか?

そういえば、途中、適宜、挟まれた、SAOプログレッシブのシーンの回想とか、アインクラッドそのものSAOサーガの原点的位置づけの言及とか、これは、ちゃんとした以後の展開に続く伏線だったりするのかな?

それとも、単にプログレッシブ劇場版の、作中内宣伝でしかないのか?

後者の可能性も捨て置けないのが、どうにもいやらしい。


ということで、予想通り石化されていたのはロニエたちで、彼女たちが復活しました!ってことが、今回のすべてだった。

なんだかなぁ。

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