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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

Unnamed Memory -after the end- 3巻(まで) 感想: こんな『シジフォスの神話』みたいな話の、何が面白いのだろう?

2024-01-10 15:46:18 | Unnamed Memory
ということで、UM本編の感想にも書いた通り、ループを打破した結果、世界の理りから外れて「逸脱者」と化したオスカーとティナーシャが、呪具破壊のために転生を繰り返す物語。

思っていた通り、つまらない。

ループもののときよりもつまらない。

いわゆる「時の旅人」ものが抱える退屈さ。

でも、それも当然で、だって、オスカーとティナーシャの二人だけが悠久を生きる存在で、あとの人たちは、ある「時代」に関わった「その他大勢」でしかないから。

オスカーとティナーシャがどれだけ彼らと友誼をかわそうとも、軽く百年がすぎる次の時代、次の物語では、その友人・知人たちが現れることはないから。

文字通りの、キャラの使い捨て。

これで面白くなるはずがない。

しかも、逸脱者の設定は、魂は永遠だが、肉体は簡単に死ぬ存在、というもので、だから、オスカーとティナーシャのどちらかが死ぬと、その魂が新たな身体を得て厳戒するまで、残された方は、基本、虚無的な「待機」モードに入ってしまう。

で、首尾よく、新たに転生した存在が生まれても、当初はかつての記憶を思いだぜずに成長するので、残された片割れが、その生まれ変わりを見つけて、ゼロから口説かなくてはならない。

それでも、最終的には、記憶を取り戻して、元のバカップルに戻る。

そんな先の見えた展開を読まされる側の苦痛を、作者は考えているのか?

実際、-after the end-の1巻では、オスカーに先立たれたティナーシャが、転生したオスカーを口説く話だったし、

-after the end-の2巻では逆に、ティナーシャに先立たれたオスカーが彼女の生まれ変わりにアプローチしていた。

要するに、交互に番を失った経験が描かれたわけで、そうなると、3巻では、そもそも互いに互いを思い出せないまま一方が死ぬ、という絡め手の展開が持ち込まれていた。

でもさぁ、そういうの、全然、面白いって思えない。

生まれ変わるたびに、その都度、新たな世界の描写が始まり、その物語で関わる人たちのキャラ描写がなされるわけだけど、その情報がその後の物語に持ち越されることはない、をわかっているのだから。

どうして細部に感情移入することができようか。

周辺キャラが、時間が過ぎたら、一気にただの背景モブとして消えてしまい、またゼロから新キャラが描かれるだけなのだから。

つまらないにもほどがある。

「時の旅人」をするなら、その時時の時代の面白さを描くことに徹すればいいのに、そのエピソードも、物語の構成上、呪具の破壊と結びつくものとなり、つまり、細部まで紹介された世界そのものも破壊対象となりがち。


そんなスクラップ&ビルドが繰り返されるだけの『シジフォスの神話』のような徒労の物語をどうやって楽しめというのか?

ワケが解らないよ。

どうしたらこんな虚無な話を書き続けられるのだろう?

まぁ、最近では、リゼロの作者に同様のことを感じるから、逆に、ループ好きな人たちは、こういう、成長の後が見えにくい、むしろ、停滞した物語法が好きなんだろうな。

自分は御免だけど。

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