BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

ブラック・ブレット 第6話 『トラジック・アイロニー』

2014-05-14 17:30:12 | Weblog
第1話を見た時には、何かどこかで見た気がするなぁ、「ガンスリンガーガール」とか「進撃の巨人」かぁ?とか思ってた。

特殊能力を有した少女(幼女?)を、お目付け役としてついた男子が使役する、ってところは、どうにもガンスリンガーだし、

何だかでっかい壁(モノリス)に囲まれたエリアに逃げ込んでガストレアという巨大な恐怖と対峙するところは、進撃~だし。

なので、ちょっとこれ、どうなんだ?・・・という気になっていたのだが、一応、4話までで、この物語世界の状況と、主人公たちの立ち位置が大分明らかにされて、これはもしかしてあり?と思い始め、前回からの新エピソードに入って、ああ、これはいいかも、と思ってきた。

思いの外、ちゃんと「ドラマ」してるんだよね。

多分、一番直接的なのは、主人公の蓮太郎が、ガンスリンガーとは違って、単なる監督役ではなく、自分自身も身体を機械で増強した人間もどきであるところ。

まぁ、右腕、右足、が機械式、というのはハガレンっぽいし、左目がなんかウィンウィンするのはギアスっぽいから、こっちも元ネタが見え隠れするわけだけどw

ともあれ、彼自身もいろいろと背負っている。

で、まぁ、デフォルトで十分強いわけだけど、とはいえ、この世界での「序列」ではまだ全然中堅クラスぐらい、ってところが、無双じゃなくていい感じかな。

もっとも、この序列システムは、ちょっといただけないな、という気もするのだが、しかし、今日日、まともに主人公の「人間的成長」を描くのがなかばご法度になっているラノベ業界からすれば、経験値の増加による「ランクアップ」システム、ってのはわかり易い「成長」の代替物なんだろうな。どんだけ、ゲーム脳なんだよ、って気もしなくはないがw

それで、ちょっと現代的だなと思ったのは、ガストレアが人間に寄生するタイプの、いわばウイルスのような存在であるところで、これは、要するに、ゾンビだよね。つまり、ウイルスにやられると、隣にいる「仲間」も突然「害敵」に転じかねない。そうなったら、当然駆除しないではいられないわけだけど、それは同時に同胞の減少も意味する。そうして、少しずつ仲間が疲弊していく。

この辺りが直接表現されたのが、4話の千寿のエピソードだよね。

いわゆる、ゾンビ化する前に人間として殺してくれ、という、本人の「尊厳を守るため」の介添え役を行うしかないところが。

正直、千寿と蓮太郎との心の交流がそこまで深いものだったようには描かれていなかったので、あの場面は少しばかり唐突に思えたけど、でも、まぁ、わからないではない。

そういう、同胞の「廃棄処分」ないし、同胞の「自害」が、常に付いて回るような世界なんだろうな、と。加えて、延珠のように、既にガストレア化へのカウントダウンが始まっている描写もあるわけで。

で、こういう設定の結果、この物語が常に時間的制約を受けた、それゆえ常にどこかしら圧迫感のある世界にならざるを得ない、という印象を与える。そうした制約条件は、やっぱり、ドラマを描くには大事な要素。

(このあたりは、今期だったら、ブリュンヒルデと似通った設定)。

今回のティナにしても、そういったもろもろの圧迫条件下にあっての行動なのだろうな、と思わせるし、それゆえ、蓮太郎との関係は厳しくならざるを得ない。

といっても、今回新調されたOPを見る限りは、多分、ティナは、紆余曲折を経て仲間になるようだから。ただ、そうなるにしても、ドラマティックにことを進めるような気がする。

しかし、なんといってもスナイパーだから。
夜目が効く、って、それだけで何かシビれるw

(むしろ、木更の斬鉄剣もどきの方が笑えるw)

とはいえ、いきなり同業者の間での小競り合いになっているところは、ちょっとねー。

このあたり、巨悪が描けなくなったと同時に、絶対的な正義も描けなくなった時代の代償として、必要な手順なんだろうけど、ちょっとなー。

聖天子(←しかし凄い名前だよな)がその名の通り、理想主義者であることをもっともらしくするために、他のエリアのゲスいオヤジを登場させる、ってのも、ちょっとねー。

(しかし、そういうゲスいオヤジはどうして、皆地方のオヤジなんだんろう。。。)

ともあれ、あとはこの先、どれだけ陰惨な状況が生じるのか、ということだよね。

ティナ編が終わってから、そのあたりの匙加減がどうなるのかが、気になる。

ところで、これ、1クール?、2クール?

今の感じだと、ストブラのように2クールやってくれるぐらいが、面白くなりそうな気がするのだけど。さて、どうなのだろう?

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東京レイヴンズ 第11巻 感想

2014-05-13 16:48:43 | レイヴンズ
前巻に引き続き、第二部序章その2、という感じ。
静かな滑り出しだけど、最後のあたりで、ホントのラスボスはそれなの-?と。
いや、ある程度は予想していたけど、ホントにそっちに振るとは思わなかったw
なんか、最後は悪人はどこにもいませんでした、って感じになりそうで怖い。。。

ということで、感想本文の前に、スペース空けときます。















































とにかく、一番、えー!と思ったのは、最後に出てきた平将門かなー。

いや、これじゃ、第一部は夢枕獏、第二部は荒俣宏じゃないw

それでいいのか-!、って感じ。

で、最後に悪人はいませんでした、って展開になるのか、と思ったのは、ここなんだよね。とりあえず、現在、ラスボス認定されている倉橋+相馬連合(夜叉丸を含む)が試みようとしているのは平将門の鎮魂なんじゃないの?とか、そもそも夜光が行おうとしていたのも、それじゃないの?とか、夜光が転生しようと思ったのは、平将門の復活?が数十年後と星詠みされたから?とか、・・・、いろいろと浮かんでしまうわけですよ。

で、それを阻止するために冷酷に何とかしようとしているのが倉橋+相馬なんじゃないの?ってね。

そうなると、実は今、ラスボスと思われている人たちの多くは、実は、より大きな脅威に相対するために、第一部に描かれたような非道なことをやらざるを得なかった、・・・、てなことになりそうで。

と思うのも、本巻最後に示された今後のスケジュールがあまりにも短いから。

だって、あと数ヶ月じゃ劇的な成長は、夜光と化した春虎を除けば望めないでしょ。だから、基本的には本巻で示された技量で最終決戦?に臨むことになるんだろうな、と。

特に、冬児なんか、もうサードパージの解除でイッパイイッパイでしょ。

というか、彼の鬼の由来を考えたら、平将門が復活した時点で、数段パワーアップして半ばバーサーカー化する、という展開か、もしくは、最終的に利害が一致した夜叉丸に力の使い方を指南されて、何とか使いこなす、とか、そんなことでもない限り、劇的な変化は望めないんじゃないかな、と。

それにしても、前々から思っていたけど冬児の扱いは、ホントにヒドイ。

いくらなんでも、冬児に稽古をつける相手が鏡、ってのはないでしょー。

ここが本巻で一番残念だったところ。

なんていうか、ヤンキーを指導するのはチンピラぐらいでちょうどいいじゃん、って安易な感じがしてね。

少なくとも、冬児の方から鏡にアプローチするってのは、ありえないと思った。
逆ならまだしも。。。

つまり、冬児があるタイミングで鏡に見つかってしまい、そこで無理矢理、冬児から話を聞き出した鏡が情報代替わりに稽古をつけてやる、って話になって、冬児がしぶしぶそれを受け入れる。しかし、打算として正しい、ぐらいの話になってくれないと。

ただ、そうした細かい機微を描こうと思うと、確かにあとがきで作者が言ってるように、各キャラごとに一巻ずつ使わないと無理だから、ダイジェストして進めるって中で、冬児の方から願い出る、という展開にせざるを得なかったんだろうけど。

うーん。

まぁ、鏡が第二部で関わってこないとは思ってなかったけど、前巻の山寺の流れからすると、出身が山寺である鏡は、そっちの方から唐突に本編に関わってくると思ったんだけどねー。

そういう意味では、大友vs木暮、も長すぎ。

まぁ、あそこがなければきちんとしたバトルがないので、全体として地味な巻になってしまうという判断もあったのかもしれないけど。

・・・ということで、ざっくりいうと、本巻は期待はずれだった。

みんな、頑張ってます!というのはわかるんだけどね。
あと、天馬、持ち上げ過ぎ。

普通の子が頑張ってます!というのも一回だけなら説得力があるけど、続けて使われるとちょっとねー。むしろ、彼には、両親同様、式の開発力という点で、彼の才能を伸ばして欲しかったし、そういう描写が欲しかった。

何がいいたいのかというと、地味男みたいな感じで過剰に彼を落とす必要はないし、むしろ、彼は彼の才能をきちんと伸ばしていることをストレートに描写すべきだと感じたということ。実際、天馬の祖父は、天馬の隠形術に舌を巻いていたわけだし。


ともあれ、どうにも駆け足すぎたかな-、と。
これも、冬児同様、先を急ぎすぎた結果の弊害だよね。

それにしても、せめて、最後の鈴鹿の話ぐらいは次巻持ち越しでも良かったんではないか、と思った。

ということで、まずは、次巻に期待。

あ、そうそう、一応、夏目の正体、というか、出自が説明されたけど、それこそ、乙種呪術だと思って、全く信用していないw

そもそも捨て子だった、ということしか言われてないわけで。
しかも、泰純が説明しただけだけだから。
彼の説明を鵜呑みにしていいほど、東レの世界は優しい世界ではないと思っているのでw

とにかく、土御門、倉橋、相馬、若杉、・・・、の間の確執にも一応注目かな。
そもそも、倉橋源司、は過剰に「家」に拘っているわけだし。

そうそう、「源司」は「源氏」と同音だよね。
ラスボス候補が平将門となるとちょっと気になってくるw

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はたらく魔王さま! 第11巻 感想

2014-05-13 15:31:29 | はたらく魔王さま!
前巻で一応終結した「魔王vs勇者のエンテ・イスラ因縁編」の落穂ひろい的な後日譚と、次巻以降の新章開始に向けた助走が示された、って感じ。

一言で言えば、「精算」回。

というわけで、部分的には本文の内容にも触れるので、スペース空けときます。













































いやー、ホントに「精算」回。

それにしても、マグロナルド幡ヶ谷駅前店が出ると、和むね~。

8-10巻のエンテ・イスラ編が、マジでファンタジー、しかも、ラブコメファンタジーになってしまっていまいちだな~と感じていた理由がよくわかった。

やっぱり、この物語は、世知辛い京王線沿線が舞台だからこそ生きてくる、長屋住まいの人情ものなのだ、と実感。

ホント、ベタなファンタジーは勘弁して欲しい。

そういう意味では、本巻の最後の、セフィロトの秘密周りの話は、ちょっと嫌な雲行きだな、と思い始めている。

なんていうか、真面目にファンタジー始めちゃったのかー、と。

いや、異世界は異世界でどこにあってもいいんだよ、そんな細かい設定はどうでもいい。だって、セフィロトという言葉が出てきた時点でもう十分オカルトだしファンタジーなんだから

それを他の「惑星」・・・、なんて無理矢理、サイエンスで説明しなくていいんだよ。

長屋の人情モノが本質であるこの物語からすれば、エンテ・イスラはどこかにある異世界ぐらいで構わない。単なる背景、設定でしかない。それをマジメに語り始めると、その方向でディテールを重ねることを止められなくなるから、ただ、ドツボにはまるだけだと思うんだよね。

いや、だってさー、エンテ・イスラはある惑星で、人間界はその惑星にあって、魔界は赤の月、天界は青の月、って、そんなこと言われたら、その時点でもう夢やぶれちゃうじゃない。

てか、みんな、オルバになっちゃうじゃん、それじゃ。

だって、要するに、悪魔は青の月世界人で、天使は赤の月世界人。

しかも、例の宇宙飛行士とか思い出せば、その昔、エンテ・イスラにいた古代人?が何かのタイミングで月に移住して、その環境に適応するために、それこそ遺伝子操作とか人体改造で生まれたのが、悪魔であり、天使である、・・・、とかの説明がなされるような流れだと思うのだよね。

悪魔や天使が長寿であることも、そうした人体改造の結果。

となると、たとえば、今回、真奥がちーちゃんの気持ちを受けとめることはできない、といっていた寿命問題も、悪魔と天使の由来の話にまで戻せば実は解決可能である、てことになりそうだし。

てか、ちーちゃんが聖法気とか使えるところからみれば、実は地球人とエンテ・イスラ人のベースとなる身体スペックは大して変わらない・・・、というか多分互換性がある、という話になるのだろうし。

そうした惑星は違えど「人間」としてのスペックはほぼ同水準、ってことを保証する役割が、多分、ミキティおばさんたち、セフィロトに連なる人?たちだよね。

てか、ミキティたちは創造神に連なるもの、ってことで神様ってことでしょ、この物語世界の。だから、ミキティの志波という姓だって、要するに、シヴァ神のことでしょ。(しかし、最近、インド神を扱う話多いな-)。

なので、どうもねー。

そういう設定、というか、どこぞの神話とSFのちゃんぽんみたいな話を設定として聞かされるのは辛い。実際、今回の内容の多くは、そういう設定の説明に費やされていたわけで。

大体、世界の秘密、とかにマジメに肉薄しようとすると、物語の内容が無駄にインフレを起こして、かつ、進行が遅くなるんだよね。そりゃそうだよ、話が無駄にでかくなるんだから。

そういう意味では、エミリアの新バイト先をマグロナルドにしたのは、残念。てっきり、センタッキーにいって、真奥と売上を競う、なんてことを頑張るのかと思っていた。

まぁ、急遽デリヴァリーサービスを始める、という話が出たきたあたりから、ああ、コールセンターの経験者なら歓迎されるな、と思っていたのだけど、まさかホントにそうなるとは・・・。

この作者は、よくも悪くも、予想を裏切らないところがねー。
はっきり言って、イマイチ。

裏返すと、予想を裏切らずに人情モノを扱って、ホロリとさせるのが得意な人だと思うのだよね。なので、余計に、設定掘り下げの方向に行くのが心配でならない。

ともあれ、ずっと狂言回しの役割をしてきたライラの登場と、漆原の天使化の件で、次巻は、一気に次の目標が定められそう。

もう、いっそのこと、その勢いで、あと2-3巻ぐらいで完結するほうがいいんじゃないかな、と思えてきた。

だって、日常で、真奥と恵美がギャーギャー喧嘩する理由がなければ、ラブコメにならないじゃんw

なんにせよ、今のままでいくと、とっても中途半端な終わり方しか待っていないように思えてくる。

ちゃんと軌道修正してくれないかな。。。
日常回が面白いだけに、切実にそう思うな。

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新約 とある魔術の禁書目録 第10巻 感想

2014-05-12 19:40:24 | 超電磁砲/禁書目録
なに~、そう来ましたかー!
って感じで、8巻から続いたオティヌス編が完結。

いやー、まぁ、9巻のあとがきの最後で、既に、オティヌスの盛大なデレ!は予告されていたので、それは全然いいのだけど、

正直、え?、それでいいの?っていうのが読後の第一声かなー。

まぁ、何を語ってもネタバレになるから、いつもどおり、スペース、空けときます。















































うん、ちょっと正直、どこから書いていいか戸惑っているのだけど、最初に、一番デカイ話からしてしまうと、

あー、これをやりたかったから、「新約」ってつけて、仕切り直ししたのね、

ということかな。

要するに、「赦し」、あるいは、「救済」、というテーマを前面にだすために。

何しろ、この10巻は、8巻から続いたオティヌス編三部作の完結編であるだけでなく、「新約」に入ってからの物語の集大成でもあるので。

(まぁ、という割には、実は、木原一族というか、学園都市の動きが後景に退いていたのだけど、その話はまたあとで。)

結局、オティヌスって何なの?何したかったの?ってことがずっと大きな謎としてあったわけで、その真意は一応前巻で上条ちゃん(と読者)には明かされたわけだけど、作中世界では全く伝えられていなかった、だから、本巻の最後で大統領が行った演説、つまり、オティヌスを「抽象的な、いわば宗教的な悪なる存在」ではなく、もともと人間であった一人の存在として「裁く」あるいは「赦す」ことを説く演説が、素晴らしく聞こえるわけで。というか、読者も含めた、禁書目録世界の総意としてのオティヌスへの、赦しの抱擁だよね。

なんていうのかな、もはや上条ちゃんの正義の話ではなく(それは9巻で既に否定され、乗り越えられている)、禁書目録世界での、多様な正義の存在の下での正義・・・、というか、救済、の話なんだよね。

だから、今回の、上条ちゃんとオティヌスの、デンマーク巡礼の旅も、一見すると、一つ一つは、ガチで禁書目録キャストの、聖人とかレベル5たち「有段者」によるガチバトルの再演なわけだけど、結局、その過程で、それぞれの立場に応じた「赦し」の形を示していく過程だったんだよね。

まぁ、その中でも白眉なのは、やっぱり美琴による、総体ちゃんと異なる激励なんだけどね。あそこは、上条ちゃんと立場が逆転して、美琴が上条に活を入れるところだからね。

そう、だから、なんというか、多様な世界のあり方をつまらないイデオロギーでモデル化するなよ、ということを、ラノベ的文脈で表現したらこうなりました、って感じかな。

なんというか、「上条は英傑ではない」という命題にとことんこだわった、というか。

つまり、英傑/英雄ではない男の子によって、窮地にある女の子を、各人各様にカスタマイズして救済していって、それらをボトムアップで積み上げていったら、どんな「正義(ホントは正義もどき、ぐらいだけど)」が描けるか、というのが、この「新約」に入ってからの大きな構成だったんだなー、と思うんだよね。

そういう意味では、木原加群、という存在も、先行した一つの回答だったんだよね、オティヌス的存在の学園都市版の末路として。

こんな風に考えてくると、「新約」というのは、見た目は完全に北欧神話モチーフなんだけど、でも、やっぱり新約聖書をどこかしらモチーフにしていたんだろうな、と思うわけですよ。上条/オティヌスコンビが苦難を乗り越えていく話として。最後には、死と再生も経験しているわけで。


・・・とはいうものの、いやー、実は、10巻も200頁を超えるあたり(つまりは半分)までは、何か、思ってたのとは違う、これじゃ、RPGのステージクリアみたいじゃないか、と思ってたのね。何しろ、一通さんを始めとして、道行く先々でかつて拳を交えてその後に理解を重ねた「強敵(トモw)」どもが刺客として現れるわけだから。てか、また、一通さんとバトるの?とか思ったわけですよ。いまさら、アックアかよ、とかね。

そういうオールスター総出演が、一種の当番回みたいに、各人に割り当てられていくのが、読み進めるには単調だったわけで。だって、神裂火織のところなんて、マジ、反則じゃない。手心加えてる、なんてレベルじゃなくて。やっぱ、本気で上条ちゃんには刃は向けるわけないよね、と。一通さんにしても、アニェーゼにしても。

ところが、だんだんと納得できたのは、上条ちゃんの武器は、別に幻想殺しだけではなく、言葉責めによる戦意喪失、武装解除、あるいは味方への籠絡w、という「無効化力」による「戦況改変力」にあることが見えてきた。

しかも、それが「上条は英傑ではない」という前巻で確立された見方によって、今まで感じてきたような「説教」ではなくなっているんだよね。

もっとも、その分、実は物語としては、わかりにくくなってきてるとは思うのだけど。

まぁ、だから、作者自身が、あとがきで、各章ネタバレの解説なんてつけてしまって、ここでは何を描きたかったかという「作者の意図」を直接示さなければならなくなってきてると思うのだけど。

なので、オティヌス編が終わってしまった今、ちょっとこの先の展開が不安にはなるんだよねー。

だって、最後に、なんか、世界中の神様登場!、みたいなことになって、ドラゴンボールも真っ青な、世界観のインフレが起こっているわけじゃない。

もう、魔術でも科学でもなんでもない世界。

まぁ、ラスボス?としてのアレイスターがようやく前面に出てくる、ってことなんだろうけど。

逆に言うと、こんな「神々との闘い」みたいなフェーズが次に来るのを用意するために、無理矢理オティヌスを、デレさせて、ダウンサイズさせて、学園都市に常駐させるようにしたんじゃないかな、と思うんだよね。

上条勢力の次なるバトルは頂上神たちとの闘いである、って感じで。

たださ、オティヌスが結局、身長15センチの妖精さん?もしくはフィギュアになった展開とか、あれ、これ、ストブラの錬金術士じゃね?とか、

世界中の神々を相手にする、って、カンピオーネとかハイスクールD×Dとか、で出てきてるネタじゃね?とか、

どうにも既視感が多くて、あれ、禁書目録も今流行の展開に逃げちゃうの?という感じがしないでもない。

もっとも、そんな陳腐化を逃れるための設定が、神々への叛逆を企てる拠点としての「学園都市」ってことなんだろうけどね。

ということで、キリスト教やら北欧神話やらを元ネタに使いながら進めてきた禁書目録世界の描写は一通り終わって、次巻以降は、ようやく学園都市の「深い闇」を扱うようになるのだろうな。つまり、なぜ学園都市は作られたのか?とか、あるいは、改めてレベル6を目指す能力開発とは何なのか?ってところに話は戻るのだろう。その過程で木原一族の思惑にも再度焦点があたったりもするのだろう。

そうやって、神々との闘い、なんて超インフレした闘いを行う段になって、トールやら聖人やら、新約になって登場した、能力インフレ怪人たちも助っ人として登場するのだろうな。あ、第7位もね。

そういう意味では、いよいよ、上条ちゃんの右腕の秘密に迫るのかもしれない。

少なくとも、本巻の最後で現れた神々なら、それを知ってるよね、きっと。なにしろ、世界そのものを創造したり、無化したり、改変したりするのは、神の力である、ということは、本巻の最後で、オティヌスに対して行った再生処置でも明らかなわけだから。


ということで、オティヌス編に決着がついて、一段落してしまった新約禁書。

次巻から、どのようにリブートをかけるのか、楽しみではある。


しかし、いい加減、登場人物多すぎだよな~w

あと、やっぱり、オティヌスは救済されるなら、等身大サイズのままが良かったかな~。

まぁ、誰にでもわかる無力化?とその結果としての彼女への刑罰の内容を考えると、ストーリー展開上は仕方ないのかもしれないけれど。なので、デレた、といっても、なんか生煮え感が拭えなかった。

いや、きっと、この先、また等身大バージョンが再登場するのだろうけどw

でも、ここらでぶっちぎりのパートナーが上条ちゃんに生まれても良かったんじゃないかな、とは思った。

そのあたりの彼女の位置づけも含めて、無理矢理、ダウンサイズされた気がするんだよねー。

そこが、今回の幕切れのところで、今ひとつスッキリしなかったところ。

あとは、バードウェイとレッサーもレギュラー化するのかな?

そういったところも含めて、キャラの整理が、そろそろ必要な気がしてくる。


ともあれ、次巻に期待。

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