「三島村誌」(p1226)には以下のような記載があります。
「黒島には大里と片泊の二部落があるが、古老の話では、今まで両の間の婚姻は一つもなかったという。しかし、一方では片泊の人が大夫や庄屋の畑を耕していたころは、片泊は、大里間の婚姻はあったが、大正中ごろから絶えたという人もいる。いずれにしても戦後初めて両間の婚姻が一組成立したときはずいぶん話題となったらしい」
この文章と写真の掲示板の文章とを比べてみてください。両者のから受ける印象には少し微妙な違いがあります。写真の掲示板は6月17日の地図で見れば大里と片泊の中間地点より大里に近い赤鼻という岬にあります。この場所には写真の右上に見える岩がありましたが、現在は道路工事のため撤去されました(勿体無いことをしましたね)。この岩を隔てての若者のラブコールがあったというわけです。普通の両の若者たちの牧歌的ラブロマンスのように掲示板からは読み取れます。
しかし、現実は「三島村誌」の記事通りであったようです。昔から両は対立関係にあったようです。その理由や実態についてはガイドの山田さんからは聞くことはできませんでした。ちなみに、あまり大きくない島にもかかわらず両に別々に小・中学校があります。
なお、有吉佐和子の小説「私は忘れない」(私は残念ながら読んでいません)には両の若者のラブロマンスが描かれていますが、たぶん「三島村誌」に記載されて「戦後初めて両***」がモデルになっているのでしょう。映画ではこれが主要なテーマの一つになっているようです。ガイドの山田さんの映画の思い出はこれでした。