それは写真のようなオストラキスモスに使われたオストラコンです。
オストラコンとはギリシア語で陶片または貝殻を意味します。オストラキスモスとは古代ギリシアの政治制度です。
一般に古代ギリシアの各ポリスは王政→貴族制→民主制と進みました。その典型的な都市がアテネ(古代名はアテナイ)でした。その貴族制→民主制の過渡期に非合法の独裁支配者が現れます。これをギリシア語でtyrannos といい日本語で僭主と訳しています。このtyrannos は英語のtyrant(暴君、独裁者)の語源になっています。しかしギリシアでは暴君的な意味はなくむしろ以後の民主制の発展に寄与している側面があります。しかし、民主制下ではこのtyrannosの出現 を警戒して市民は写真のようなオストラコンに危険と思われる人物名を書きアゴラ(市民広場)で投票し、アテネでは6000の票が出たときアテネ市から10年間追放されました。
これをオストラキスモス陶片追放といいます。オストラコンが貝殻も意味するので昔の日本の本では貝殻追放と訳していました。多分昔の日本人は現物を見なくて言葉だけでそう訳していたのだと思います。私の最初の出会いも貝殻追放であったような記憶があります。
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