先日来、お芋ネタが続きます・・・。
サツマイモを混ぜ込んだお餅は、主に九州・四国の各地で作られているようです。
かんころ餅といったり、こっぱ餅といったり。
サツマイモの皮を剥いて薄切りにし、茹でて固く干したもの(かんころ/こっぱ)を材料にしています。
中には、サツマイモの皮を剥いて薄切りにし、生のまま干したもの(白切り)を蒸し直して(又は粉にして)使うところもあるようです。
検索してみると、かんころ餅/こっぱ餅のネット通販サイトは割とあるものの、製造工程をきちんと説明しているサイトや個人ブログなどはあまりないです。
いくつかヒットした作り方を表にしてみました。
名前 (県) |
材料 サツマイモの準備 |
作り方 | 出典・備考 |
(1) かんころ餅 (長崎県五島地方) |
かんころ、もち米、砂糖 サツマイモは半月ほど天日干して水分を減らす →皮をむいて薄く輪切り →湯がいてから天日で干す →「(茹で)かんころ」として保存 (皮を剥いてスライスし生のまま干す「白切り」という干し芋もある。用途はまた違う) |
1.餅米を洗って、水に半日ほどつけてから、蒸す。 2.かんころを桶などに入れて熱湯で洗い、蓋をして、しばらくふやかしてから蒸す。 3.臼に蒸したかんころを入れて杵で突き、それに蒸した餅米を加えてよく突く。 4.台に移して、かまぼこ型に整形する。 ☆スライスし、食べる際は焼いて食べる。 |
Wikiかんころ餅 |
(2) かんころ餅 (長崎県五島地方) |
かんころ、もち米、砂糖 サツマイモは皮をむいて薄く輪切り →(参照サイトに明記はされていないが写真を見るとおそらく茹でてから)天日で干す →「(茹で)かんころ」として保存 |
1.餅米を洗って、水に半日ほどつけてから、かんころをもち米の下に敷いて蒸す。 2.蒸し上がったもち米とかんころを混ぜ、大型挽肉器で2回挽く。 (搗く作業はなし)1回挽いたあと砂糖を加える。 3.なまこ型に成形。 ☆スライスし、食べる際は焼いて食べる。 |
かんころ餅作り方 |
(3) こっぱ餅 (熊本県天草地方) |
こっぱ、もち米、上白糖 (芋ともち米の比率は3:7くらいという情報あり) サツマイモは皮をむいて薄く輪切り →穴をあけて藁に通す。 →藁ごと茹で、吊して天日でよく干す →「(蒸し)こっぱ」として保存 |
1.餅米は洗って一晩水に浸す。 2.ボウルにこっぱを入れてお湯を注ぎ、そのまま20~30分置いて戻す。 3.1と2を一緒にして蒸し、蒸し上がったら餅つき機でつく。 4.粒がなくなるまでよくついたら砂糖を加え、よく混ざるように更につく。 5.好みの型にとり、餅とり粉をまぶす。 ☆スライスし、食べる際は焼いて食べる。 |
こっぱを作っている様子 こっぱ餅の説明と販売 |
(4) かんば餅/いも餅/いもの餅 (高知県) |
かんば、もち米、さとう |
1.餅米は洗って一晩水に浸す。 2.(かんばを水で戻すかどうか不明) 3.もち米とかんばを一緒にして蒸し、蒸し上がったら餅つき機でつく。 4.粒がなくなるまでよくついたら砂糖を加え、よく混ざるように更につく。 5.好みの型にとり、餅とり粉をまぶす。 ☆スライスし、食べる際は焼いて食べる。 |
かんば餅製作風景 |
(5) こっぱもち (COPPA)(鹿児島県甑島) |
こっぱ、もち米、黒砂糖 サツマイモは粗い千切りにする →(おそらく茹でる) →それを干す |
詳細不明 ☆スライスし、食べる際は焼いて食べる。 |
甑島特産品を売っているお店によるCOPPA(商標) |
(6) ねりくり/ねったくり (宮崎県/鹿児島県) |
サツマイモ、固くなった餅 | 1.洗ったあと、皮をむいて粗く切ったサツマイモを鍋に入れ、ひたひたからかぶるくらいの水を張って茹でる。 2.サツマイモが柔らかくなり始めたら餅を加えて、サツマイモと餅が柔らかくなるまで茹でる。 3.茹で上がったらお湯を切り、塩少々を加えてすり鉢で丁寧につき混ぜる。 4.サツマイモと餅がむらなく混ざったら適当な大きさにちぎり、きな粉をまぶして食べる。 ☆丸めてきなこをまぶしたものを柔らかいうちに食べる。 |
Wikiねりくり 以前作ったときの記事(当ブログ) |
(7) 佐渡のいももち (新潟県佐渡小木地区) |
サツマイモ、小麦粉、塩、砂糖 |
1.サツマイモを洗って皮をむき、細かく切って一晩水にさらしてあくを抜く。 2.翌日、蒸してつぶしたものを型枠に流し入れる。 その時、つなぎの小麦粉と、塩・砂糖をほんの少し混ぜる。 3.型枠に入れ、一日おいてカットし、約40時間、通風乾燥。 ☆軽くあぶって食べる。 |
いももち解説 |
数年前から、干し芋の副産物のサツマイモペーストで、このカンコロ餅が作れないものかと思っていました。
でも柔らかいペースト状の芋と蒸したもち米を搗き混ぜると、こっぱ餅ではなく、「ねりくり」(上の表(6))という柔らかいお餅になってしまいそうです。
これでは日保ちしなさそう・・・。
できれば人に食べて貰えるような美味しいもので、日保ちするものが作りたいです。
うーん。うーーーん。うーーーーん・・・ (ぐー)
(そして矢のように月日は過ぎ去り・・・。)
数年間、ぼんやりとでも考えておくものですね。先日、ふとひらめきました。
ペーストが柔らかすぎるならば、干してみたらどうだろうか!?
おお、目からウロコのアイデアでは?(本人比)
早速やってみます。
実は餅つき機でやる前、ホームベーカリーで2合だけやってみました。
でも、実家で扱っている餅つき機とは随分挙動が異なり、鍋肌の餅が乾燥気味で塊が出来たり、餅を容器から取り出すのもうまくいきません。
仕方がないので、納戸の奥の餅つき機を取り出してくることにしました。
餅つき機だと圧倒的に楽。さすが専用マシンです。
出来上がったばかりは柔らかいですが、2、3日すると切ることが出来る固さになります。
スライスしてトースターで焼いて食べると、干し芋とお餅の中間のような、柔らかくて甘いお餅になります。
ココナツ入りも、私は結構好きです。
少し塩を入れると砂糖控えめでも味がハッキリしそう。
好みもあると思うけれど、まあ普通に食べられるのではないかと思います。
もち米とお芋の比率やお砂糖の量など、もう少し研究してみようと思います。
試作段階ではありますが、数人の方に無理矢理味見して頂きました。
どんなもんでしょうか・・・。
■参考
(1)日本各地の干し芋について
切り方、加熱の有無(スライスして茹でてから干すほか、生のまま干すこともある)、干し方(ザルに広げる、吊す)など日本各地で色々な干し方があります。用途もさまざま。
餅米と水を容器にセット
↓
15分間加熱
↓
羽根をゆっくり回しながら更に35分間加熱(計50分)
↓
10分間捏ね作業
完成。所要時間約1時間。
容器から餅を取り出し、また埋まり混んでいる羽根をひきはがすのがえらく大変。
(3)餅つき機での餅つき工程
水を本体側の釜に注ぐ。
↓
上部の容器と羽根をセットし、もち米を入れる
↓
蒸す(約15分くらい?。ブザーが鳴って終了を知らせてくれる)
手動でスイッチを切り、搗く工程も手動で開始。
↓
捏ね具合を自分で見計らい、搗く工程終了。
羽根を動かしたままお餅をつかみ上げれば、お餅の取り出しはとても楽。
(4)おやつとして食べる干し芋についてまとめたサイト ほしいも学校
歴史 作り方
(5)朝日新聞記事 熊本天草のこっぱもちについて