熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

憩いのひと時:紅茶とショートブレッド

2016年01月12日 | 生活随想・趣味
   イギリスに居た頃、仕事でヨーロッパを飛び回っていたのだが、暇な時間が取れると、書斎に入って、積読の本を引き出して、ゆっくり休息を兼ねた読書に耽るのを楽しみにしていた。
   その時、書斎に持ち込んだのは、紅茶のポットとWarlkersのショートブレッドである。

   ショートブレッド(Shortbread)は、ウイキペディによると、スコットランドの伝統的な菓子で、紅茶と良く合うとされる。〔short〕は、食感がサクサク、あるいはポロポロすると言う意味の形容詞で、〔bread〕は、いわゆるパンのことで、この2つの単語が合わさるとひとつの名詞となり、その場合には「バタークッキー」(油分のたくさん入った、分厚いもの)を指す。と言うことらしいが、
   私は、イギリスでは、沢山種類のあるビスケットを、あれこれ試しながら、到達したのが、このシンプルなショートブレッドなのである。

   小麦粉、バター、砂糖、塩の4種類の材料のみで作られる。材料の配合の目安は、小麦粉100gに対し、バター50 - 60g、砂糖30 - 40g程度。と言うことであるから、かなり栄養価が高く、決してポテトチップスの様に軽くはなく、結構、重たくて、淡白な味ながら、じわっとした甘味が滲み出て来て美味しいのである。

   この口絵写真は、当時使っていたウエッジウッドのティーカップではなくて、シンプルな和食器を使っているが、最近は、コーヒーなどもマグカップで飲むことが多いし、言うならば、何でも良いのであって、気分によって、カップを変えている。
   紅茶も、イギリスでは、フォートナム&メイソンに行って、ダージリンのファーストフラッシュが発売されると買い込んで来て、紅茶の淹れ方も本格的なレシペに従っていたのだが、帰国してから三越では、異常に高くて、ロンドンに照会しても返事がなく入手が難しくなったので、その後は、適当なダージリンを選んで使っている。

   不思議なもので、イギリスで美味しいと思った紅茶にしろ、ビスケットにしろ、何にしろ、日本に帰って来て試してみたら、それ程のものではないことが良くある。
   これは、イギリスに限らず、例えば、アメリカで絶えず飲んでいたコーラなどは、日本では飲む気がしないし、ブラジルで最も人気の高い清涼飲料のガラナなども、日本では飲めたものではない。
   食品や料理などは、やはり、土俗的な性格が強くて、その地方で飲んで食べてこそ、美味しいのだと思う。

   さて、このショートブレッドだが、私にとっては、イギリスでの生活の象徴でもあり、貴重な思い出の一つなのである。
   日本でも簡単に買えるのだが、赤いタータンチェック柄のパッケージに入ったスコットランドのウォーカー社(Warlkers)のショートブレッドを見ると、無性に懐かしくなって、走馬灯のようにイギリスでの思い出が頭を駆け巡る。
   そんなひと時を過ごしたくて、時々、warlkersのショートブレッドやビスケットを買ってきて、書斎に籠っている。
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする