熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

トランプの勝利:歴史的逸脱者ではなく、現代のアメリカの再形成者?

2024年11月07日 | 政治・経済・社会
   ニューヨークタイムズの電子版の冒頭に、トランプのアメリカ、その勝利は、国民の自意識の変化
Trump's America
Victory changes nation's sense of itself
   トップ記事は、
   エリートの米国ビジョンに対するポピュリストの反乱
結局、ドナルド・トランプは、一部の人々が考えていたような歴史的逸脱者ではなく、現代のアメリカを再形成する力であると、ピーター・ベイカーは分析で書いている。
Populist Revolt Against Elite’s Vision of the U.S.
In the end, Donald Trump is not the historical aberration some thought he was, but a force reshaping the modern U.S., writes Peter Baker in an analysis.

   トランプの逆転勝利は、彼自身のイメージで現代アメリカを再形成する変革力で、異なる種類の国を示していて、一部のエスタブリッシュのエリート階級が考えていたような歴史的逸脱者ではない。と言うのである。

   最後の集会で、カマラ・ハリスはドナルド・J・トランプをアメリカを代表しない異端者だと軽蔑し、「私たちはそういう人間ではない」と断言した。
   実際、それがまさに私たちの姿、少なくとも、ほとんどの人の姿なのかもしれない。
   トランプは歴史の灰燼に帰すことになる異端者だという思い込みは、火曜の夜、激戦州を席巻した赤潮によって洗い流された。そして、両党の支配層エリートが長きにわたって育んできたアメリカに対する理解も一掃された。
   良識が支配する高度な民主主義社会ではなく、トランプ現象が浮き彫りにしたアメリカが、実際現実のアメリカの姿だということであろう。

   トランプは再び、経済的、文化的、人口学的に国が崩壊しつつあるという、彼らが知っている多くの人々の感覚をうまく利用して、それに対抗するため、有権者は、たとえ感性を傷つけたり古い基準に違反したりしても、慣習を覆し、過激な行動を取ることをいとわない、生意気な78歳のチャンピオンの復帰を承認した。
   彼らが選んだリーダーに対する疑念は脇に追いやられ、その結果、歴史上初めて、アメリカ人は有罪判決を受けた犯罪者を大統領に選んだ。彼らは、前回の選挙を覆そうとし、職を取り戻すために憲法の「廃止」を要求し、就任初日に独裁者になることを望み、敵対者に対して「報復」を誓った指導者に権力を返した。

   ピーター・ベイカーは、選挙戦やハリスの対応など詳細に論じているが、ここでは、省略する。

   ある意味で、トランプの勝利は、2021年1月6日に起きた同氏の支持者の暴徒による議事堂の略奪を一巡させるものでもある。2020年のバイデンの勝利の確定を阻止することを狙ったこの攻撃は、トランプの信用を失墜させた民主主義への致命的な攻撃から、新たに再選された大統領が約束した恩赦を生み出す愛国的な行為へと作り変えられた。
  「多くの点で、これは1月6日のドラマの最終章だ。」 「共和党員の多くは、支持基盤を怒らせないようにしつつトランプを追放するという絶好のチャンスをものにしたと思っていた。だが、そうではなかった。そして今、トランプは戻ってきている。そして、トランプが賭けに勝って権力に復帰すれば、1月6日の最終判決は、現代のアメリカでは不正行為は可能であり、システムは反撃するほど強力ではないということだ。」
   今後の決定的な戦いは、トランプが腐敗していると見なすシステムに対してこれから戦うと述べている戦争となるだろう。選挙公約に従えば、大統領職の権力をさらに強化し、「ディープステート」を屈服させ、両党とメディアの「反逆者」政敵を追い詰めることになるだろう。
   そうすることで、前回にはなかった正当性と経験を得ることになる。彼は最初の任期で、政策についてではなく、権力のレバーを引く方法について学んだ。そして今回は、トランプにはもっと多くの自由が与えられ、より一致した顧問団と、おそらくは議会の両院、そして8年以上前でさえもトランプにのみ従う政党も与えられるであろう。
   トランプ時代は、結局4年間の空位期間ではなかった。トランプが新任期を終えると仮定すると、それはフランクリン・D・ルーズベルトやロナルド・レーガンと同じくらい長く政治の舞台の中心に立つ12年間の時代になりそうだ。と言う。

   いまやトランプ党とも言ってもよい共和党に支配されたトリプルレッドの安定した政治体制をバックにしたトランプ政治、
   アメリカの民主主義が窮地に立つ。

   お題目の「アメリカ・ファースト」の意識さえ希薄なトランプが、「トランプ・ファースト」を金科玉条に掲げて、出来得る限りの最高権力を駆使して、独裁政治に突っ走るという。
   それが、アメリカの再形成だというのなら、前世紀の大恐慌時代以降の世界の歴史が垣間見えてきて、恐ろしい限りである。
   いまや、世界中が、強力な独裁体制の専制国家に囲まれており、民主主義の旗頭であるアメリカの軌道修正だけに、不安がつのる。
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