
マチネーよりは、夜の公演の方がハレの雰囲気になるのがロイヤル・オペラ、ウエストエンドのミュージカルと違って比較的観光客の比率が少ないように思う。
今回、「リゴレット」を鑑賞する為に私が幸運にも得た席は、グランド・ティアのRoyal Box RB6。舞台に向かって右手の一番舞台よりのボックス席だが、これは、女王陛下がご観覧になる時の部屋である。
一番上席だとされているグランド・ティア席は、サークルの2階席で、舞台正面はイス席になっているが、舞台側左右には、夫々8つのボックス席があり、女王陛下のボックス席が一番広くて、倍の定員8名で、総て移動式のイスで、肘付きのしっかりしたイスが2脚置かれている。
この部屋の最大の特質は、舞台と反対側の壁面に大きな鏡が付いている事。女王陛下が、一番舞台から遠い正面に座られるので、絶えず女王陛下に対面して座って居らねばならない女官達には舞台が見えないので、鏡を通して鑑賞する為のものだと言う。
今回の相席は、常連だと思える老夫妻とラテン系オペラ好きのヤング男2人、それに旅の若いチャーミングなアメリカ人レイディと私。アメリカ婦人と私が、後列で高いイス席だが、場合によっては手前の舞台が良く見えない。
しかし、至近距離で上から、舞台とオーケストラ・ピットが良く見えるのも、中々素晴らしいものである。
前列が広くて、もう一つイスが入る余裕があるので、彼女に勧めたが、遠慮したので私が失礼して前に出て、最後まで、殆ど女王陛下と同じ視線でリゴレットを楽しむ事になった。
余談ながら、ダイアナ妃がご観覧になったガラでは、グランド・ティアの正面右よりのイス席に座っておられた。
ところで、このコベントガーデンでも以前にリゴレットを観た事があるが、今回のリゴレットは、私にとっては始めての歌手ばかりであったが、まさに、最初から最後まで感激の連続であった。
カーテンが開くと、マントヴァ公爵の宮殿の狂乱の舞台。若い女性が胸を肌蹴て走り回り、酒びたり饗宴浸りであっちこっちで愛の交歓、兎に角、最初から度肝を抜くようなリアリズムに徹した舞台設定。
マントヴァ公は、今を時めく若手テノール・ローランド・ヴィラゾンで、素晴らしい美声で最初のアリア「あれか、これか」を歌い始める。
このヴィラゾン、秋からのシーズンで、メトロポリタンとウイーンで、このマントヴァ公を歌うという。
第三幕のアリア「女心の唄」を聴いていると、初めて上野文化会館で聴いて感激したパバロッティの歌声とダブってしまって感激しきり。
来月、来日して東京オペラシティでリサイタル、京の古寺でも歌うという。
リゴレットは、ロシアのバリトン・ディミトリ・ホロストフスキー(Dimitri Hvorostovsky)。心なしか、第一幕からリゴレットの悲しい運命を強く予感させるような抑えた演技が印象的で、同じくロシアのソプラノ・エカテリーナ・シウリーナの初々しいジルダとの相性が良く、第二幕の大詰めジルダとの畳み掛ける様な激しい2重唱「復讐を」で頂点に達する。
私は、これまで、ロシア人歌手の大変な実力に何度も感激しているが、このリゴレットもまさにその瞬間であった。
余談ながら、イギリス人オペラ歌手の大半はウエールズ出身だが、ロシア人にもこれと同じ様な特別な歌手としてのDNAがあるのだと思っている。
イギリス人指揮者のエドワード・ダウンズだが、何度も聴いていながら、地味なので殆ど気付いていなかったが、ロイヤル・オペラを振って54期目だと言う。
指揮をしながら歌っている。この情熱が、将来有望な若手達を糾合して素晴らしいリゴレットを引き出しているのであろう。
素晴らしいオペラの余韻を楽しむ為に、オペラハウスを出て、チェアリング・クロスまで歩いた。
観光客が引き上げた「シャーロック・ホームズ」パブで、ゆっくりギネスを楽しみながら夜長を過ごしたかったからである。
今回、「リゴレット」を鑑賞する為に私が幸運にも得た席は、グランド・ティアのRoyal Box RB6。舞台に向かって右手の一番舞台よりのボックス席だが、これは、女王陛下がご観覧になる時の部屋である。
一番上席だとされているグランド・ティア席は、サークルの2階席で、舞台正面はイス席になっているが、舞台側左右には、夫々8つのボックス席があり、女王陛下のボックス席が一番広くて、倍の定員8名で、総て移動式のイスで、肘付きのしっかりしたイスが2脚置かれている。
この部屋の最大の特質は、舞台と反対側の壁面に大きな鏡が付いている事。女王陛下が、一番舞台から遠い正面に座られるので、絶えず女王陛下に対面して座って居らねばならない女官達には舞台が見えないので、鏡を通して鑑賞する為のものだと言う。
今回の相席は、常連だと思える老夫妻とラテン系オペラ好きのヤング男2人、それに旅の若いチャーミングなアメリカ人レイディと私。アメリカ婦人と私が、後列で高いイス席だが、場合によっては手前の舞台が良く見えない。
しかし、至近距離で上から、舞台とオーケストラ・ピットが良く見えるのも、中々素晴らしいものである。
前列が広くて、もう一つイスが入る余裕があるので、彼女に勧めたが、遠慮したので私が失礼して前に出て、最後まで、殆ど女王陛下と同じ視線でリゴレットを楽しむ事になった。
余談ながら、ダイアナ妃がご観覧になったガラでは、グランド・ティアの正面右よりのイス席に座っておられた。
ところで、このコベントガーデンでも以前にリゴレットを観た事があるが、今回のリゴレットは、私にとっては始めての歌手ばかりであったが、まさに、最初から最後まで感激の連続であった。
カーテンが開くと、マントヴァ公爵の宮殿の狂乱の舞台。若い女性が胸を肌蹴て走り回り、酒びたり饗宴浸りであっちこっちで愛の交歓、兎に角、最初から度肝を抜くようなリアリズムに徹した舞台設定。
マントヴァ公は、今を時めく若手テノール・ローランド・ヴィラゾンで、素晴らしい美声で最初のアリア「あれか、これか」を歌い始める。
このヴィラゾン、秋からのシーズンで、メトロポリタンとウイーンで、このマントヴァ公を歌うという。
第三幕のアリア「女心の唄」を聴いていると、初めて上野文化会館で聴いて感激したパバロッティの歌声とダブってしまって感激しきり。
来月、来日して東京オペラシティでリサイタル、京の古寺でも歌うという。
リゴレットは、ロシアのバリトン・ディミトリ・ホロストフスキー(Dimitri Hvorostovsky)。心なしか、第一幕からリゴレットの悲しい運命を強く予感させるような抑えた演技が印象的で、同じくロシアのソプラノ・エカテリーナ・シウリーナの初々しいジルダとの相性が良く、第二幕の大詰めジルダとの畳み掛ける様な激しい2重唱「復讐を」で頂点に達する。
私は、これまで、ロシア人歌手の大変な実力に何度も感激しているが、このリゴレットもまさにその瞬間であった。
余談ながら、イギリス人オペラ歌手の大半はウエールズ出身だが、ロシア人にもこれと同じ様な特別な歌手としてのDNAがあるのだと思っている。
イギリス人指揮者のエドワード・ダウンズだが、何度も聴いていながら、地味なので殆ど気付いていなかったが、ロイヤル・オペラを振って54期目だと言う。
指揮をしながら歌っている。この情熱が、将来有望な若手達を糾合して素晴らしいリゴレットを引き出しているのであろう。
素晴らしいオペラの余韻を楽しむ為に、オペラハウスを出て、チェアリング・クロスまで歩いた。
観光客が引き上げた「シャーロック・ホームズ」パブで、ゆっくりギネスを楽しみながら夜長を過ごしたかったからである。
こちらにはHvorostovskyをkey wordに訪れました。日本での知名度がゼロに近かった(今でも決して高くないのですが)10数年前からファンでした。インターネットの無い時代は、CDとFM放送、そして主に英国の音楽雑誌が情報源でした。
リゴレットの感想を拝読するに、演技力もかなり向上したようですね。かつては「歩く姿を見るだけで大根とわかる」、ファンでさえ下を向いてしまいたくなるような稚拙な舞台姿でした。2年前のマリィンスキー(キーロフ)オペラ来日公演でも「オネーギン」の外題役は見られるようになったものの「戦争と平和」のアンドレイはやっとのことで演じている様子でした。
先月東京でコンサートがありましたがロシア歌曲が少なく、物足りない思いをしました。彼の母語であるロシア語の歌は他のどの言語よりも声の美しさが際立ち、音楽とよく溶け合いますので。
来シーズンのROHの「オネーギン」を聞きに行けたら、と思うばかりです。
ところで、Hvorostovskyですが、迂闊にも知らなくて。しかし、その分幾倍にも感激しました。
私生活部分のリゴレットは派手な演技は無用ですし、キャリアから言っても、凄い歌手です。
今回は、定評のあるPaolo Gavanelliとのダブルキャストでしたが、コベントガーデンでは、92年から多くのタイトルロールを歌っている様です。
このブログ、舞台写真に変えました。