
7月11日、オペラとシェイクスピアを楽しんだので、ミュージカルに出かけようと思った。
ミュージカルは、ブロードウエイ、即ち、ニューヨークが本場の印象が強いが、ロイド・ウエーバーがいる所為もあって、ロンドン・ウエスト・エンド発の作品が結構多い。
今回、まだ、ロンドン三越のすぐ側、マジェスティック・シアターで「オペラ座の怪人」が演じられていた。15年も以上前に、娘が好きだったので何度も見に行ったが、同じ劇場で毎日同じ演目で公演、凄いことである。
私が最初に見たミュージカルは、「A Little Night music」で、美しい舞台だと思った。
その後、ブロードウエイで、まだ元気だったユル・ブリンナーの「王様と私」やレックス・ハリソンの「マイフェア・レイディ」を見たが、チャーミングな相手役の女優の名前を忘れてしまった。
一昨年、ロンドンで「マイフェア・レイディ」を見たが、とにかく、映画のように面白く、特にイライザの父親が秀逸であった。
映画の名優も、舞台で見ると極めて新鮮で、一期一会で瞬間に消えてしまう演技、この喜びはやはり何物にも変えがたく、私が、ホールやシアターに通い続ける理由でもある。
今度は、「メリー・ポピンズ」が上演されていて、2階建てのロンドンバスの横っ腹に派手な広告が描かれていた。
何を見に行こうか迷ったが、結局、コベントガーデンからチェアリングクロスへ歩く途中、大通りに面して派手なカンバンが架かっているアデルフィ劇場の「シカゴ」を見ることにした。
アカデミー賞を取った映画はWOWWOWで見ていた。何がアカデミーに値するのか良く分からなかったが、もともと、多くの有名な映画は、舞台のミュージカルがオリジナルの場合が多い。それに、この「シカゴ」も随分長い間劇場で演じられている。
若い客が劇場前に溢れていたが、良い席が沢山余っていた。2階席の正面、少し右よりの最前列であった。
この劇場は、ロンドンでも施設としては貧弱な方であろうか、あのマジェステイックのような豪華さと品はないし、比較的ロングランを重ねた「レ・ミゼラブル」や「キャッツ」の上演劇場と比べても当然おちる。
もっとも、言っているのはパブリック・スペースの話で、舞台や上演施設については全く問題なく、存分に楽しめた。
ロンドンには、大変な数の劇場があるが、案外有名な劇場でもこのようなものかもしれないと思った。
私は、入るまで、主役のロクシー・ハートを演じるのが、ブルック・シールズであることを知らなかった。
最近は銀幕から消えているので忘れていたが、「プリティ・ベイビー」での美しい聖少女、それに「珊瑚礁」での初々しい乙女姿が印象的だが、その後映画も見ていないし、成熟した大人のシールズは、時折見る写真しか記憶にない。
とにかく、スマートで颯爽と登場したブルック・シールズの勇姿、美少女の面影は殆どないが、歌い踊るミュージカル・スターの素質十分。
美声ではないが少し堅い特徴のある声は、パンチが利いてメリハリがあって中々素晴らしい、ウエルマ・ケリーを演じるベテランのシャーリー・イサベラ・キングと対等に歌って踊っている。
映画ではリチャード・ギアが演じる弁護士ビリー・フリンを黒人俳優クラーク・ピータースがやっていたが、この方が、何か得体の知れないギアよりは、シカゴの悪徳の匂いが出ていて面白いと思った。
それに、マトロン・ママ・モートンを演じるジー・アッシャの芸の達者さ、このようなベテラン脇役の存在がロンドン・ウエスト・エンドのミュージカルを豊かにしている。
舞台のバック中央に額縁状に設置された楽団が、ガース・ホールの指揮で、縦横無尽にジャズ調のミュージックを熱演、舞台正面で素晴らしい踊りを披露する美女軍団と呼応して、華麗な舞台を演出。
どちらかと言えばストーリー性のあるミュージカルを楽しんできた私には、「オー・カルカッタ」や「42nd Street」等を見たときのドタバタとあい通じるところがあって面白かった。
とにかく、オペラやシェイクスピアとは違った感激を味わって劇場を後にした。
ミュージカルは、ブロードウエイ、即ち、ニューヨークが本場の印象が強いが、ロイド・ウエーバーがいる所為もあって、ロンドン・ウエスト・エンド発の作品が結構多い。
今回、まだ、ロンドン三越のすぐ側、マジェスティック・シアターで「オペラ座の怪人」が演じられていた。15年も以上前に、娘が好きだったので何度も見に行ったが、同じ劇場で毎日同じ演目で公演、凄いことである。
私が最初に見たミュージカルは、「A Little Night music」で、美しい舞台だと思った。
その後、ブロードウエイで、まだ元気だったユル・ブリンナーの「王様と私」やレックス・ハリソンの「マイフェア・レイディ」を見たが、チャーミングな相手役の女優の名前を忘れてしまった。
一昨年、ロンドンで「マイフェア・レイディ」を見たが、とにかく、映画のように面白く、特にイライザの父親が秀逸であった。
映画の名優も、舞台で見ると極めて新鮮で、一期一会で瞬間に消えてしまう演技、この喜びはやはり何物にも変えがたく、私が、ホールやシアターに通い続ける理由でもある。
今度は、「メリー・ポピンズ」が上演されていて、2階建てのロンドンバスの横っ腹に派手な広告が描かれていた。
何を見に行こうか迷ったが、結局、コベントガーデンからチェアリングクロスへ歩く途中、大通りに面して派手なカンバンが架かっているアデルフィ劇場の「シカゴ」を見ることにした。
アカデミー賞を取った映画はWOWWOWで見ていた。何がアカデミーに値するのか良く分からなかったが、もともと、多くの有名な映画は、舞台のミュージカルがオリジナルの場合が多い。それに、この「シカゴ」も随分長い間劇場で演じられている。
若い客が劇場前に溢れていたが、良い席が沢山余っていた。2階席の正面、少し右よりの最前列であった。
この劇場は、ロンドンでも施設としては貧弱な方であろうか、あのマジェステイックのような豪華さと品はないし、比較的ロングランを重ねた「レ・ミゼラブル」や「キャッツ」の上演劇場と比べても当然おちる。
もっとも、言っているのはパブリック・スペースの話で、舞台や上演施設については全く問題なく、存分に楽しめた。
ロンドンには、大変な数の劇場があるが、案外有名な劇場でもこのようなものかもしれないと思った。
私は、入るまで、主役のロクシー・ハートを演じるのが、ブルック・シールズであることを知らなかった。
最近は銀幕から消えているので忘れていたが、「プリティ・ベイビー」での美しい聖少女、それに「珊瑚礁」での初々しい乙女姿が印象的だが、その後映画も見ていないし、成熟した大人のシールズは、時折見る写真しか記憶にない。
とにかく、スマートで颯爽と登場したブルック・シールズの勇姿、美少女の面影は殆どないが、歌い踊るミュージカル・スターの素質十分。
美声ではないが少し堅い特徴のある声は、パンチが利いてメリハリがあって中々素晴らしい、ウエルマ・ケリーを演じるベテランのシャーリー・イサベラ・キングと対等に歌って踊っている。
映画ではリチャード・ギアが演じる弁護士ビリー・フリンを黒人俳優クラーク・ピータースがやっていたが、この方が、何か得体の知れないギアよりは、シカゴの悪徳の匂いが出ていて面白いと思った。
それに、マトロン・ママ・モートンを演じるジー・アッシャの芸の達者さ、このようなベテラン脇役の存在がロンドン・ウエスト・エンドのミュージカルを豊かにしている。
舞台のバック中央に額縁状に設置された楽団が、ガース・ホールの指揮で、縦横無尽にジャズ調のミュージックを熱演、舞台正面で素晴らしい踊りを披露する美女軍団と呼応して、華麗な舞台を演出。
どちらかと言えばストーリー性のあるミュージカルを楽しんできた私には、「オー・カルカッタ」や「42nd Street」等を見たときのドタバタとあい通じるところがあって面白かった。
とにかく、オペラやシェイクスピアとは違った感激を味わって劇場を後にした。
ブルック・シールズはミュージカルに転向していたのですね。私も映画はルイ・マルの「プリティ・ベイビー」くらいしか知らないのですが。
「シカゴ」は映画もミュージカルも見ていませんが、広告の粗筋を読むかぎり、戦前のコメディ「Roxie Hart」のリメイクかと思っていたのですが、やはりそうでしたね。
私が見たのはジンジャー・ロジャース主演の40年代の映画版です。何しろアメリカ旅行中にスクリューボールコメディ特集として上映していたのを偶然見たもので、字幕もなく、とりあえず笑える程度には面白かったものの細かいところはわからないままでした。
30年代,40年代のハリウッドのコメディ映画はとにかく面白いんです。レオ・マッケリーの"The Awful Truth"(邦題はわかりません)など、どこかで上映してくれたら飛んでいきますのに。
シカゴは、今、東京フォーラムでやっているようです。
映画俳優でもあったし、シールズのミュージカル俳優としての将来は楽しみでしょう。
ハリウッドの俳優の多くは英国人、その大半がシェイクスピア役者。日本の役者の中でも古典芸能や宝塚出身者の活躍、正式な訓練と異ジャンル間の交流は芸が豊かになるように思います。
私はガーシュイン止まりですが、アメリカ文化の黎明期・アールデコ時代のアメリカは素晴らしいですねえ。