熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

雪景色の思い出・・・オランダの雪、アルプスの雪

2006年01月22日 | 海外生活と旅
   関西に生まれ育ったが、故郷を遠く離れて、その後、東京、アメリカ、ブラジル、オランダ、イギリスと渡り歩き、帰国後はずっと千葉に住んでいるので、雪深い所に住んだことがない。
   夜中に深々と雪が降って、今日のように天気が良くなって、翌日に美しい雪景色が目の前に展開されるとカメラを持って飛び出したくなる。

   昔、出張でサウジアラビアのリヤドで仕事をしていた時、異常気象で大雨が降った時のことを思い出した。
   この時、パートナーのアラビア人たちは、会社を休んで家族を引き連れ弁当を持って、大水で氾濫して激流する川を見物に出かけた。
   雨など殆ど降らない水不足の砂漠の民には、川自体が珍しくて、何時も見慣れた普通の谷底が俄か河川になって、それが氾濫して激流するのなどは滅多に見られない見ものなのである。
   何のことはない、泥水が凄い迫力で流れているだけなのだが、珍しいと言うことはそう言う事なのである。
   私の雪にたいする感覚も、これと同じかもしれない。

   フィラデルフィアやアムステルダムやロンドンも冬は寒い所だが、東京と同じで殆ど大雪の経験はない。
   しかし、一度だけ、アムステルダムで大雪が降って、珍しい経験をした。
この時は、娘に雪橇を買ってやったのだが、その時だけで、その後は一度も使わなかった。
   その年は、大変寒い年で、氷点下21度まで下がって家の中の水道管が破裂して水浸しになった。
   車は、各住宅の前庭に野外駐車なので、朝車に乗ろうとすると鍵穴が凍って開かないので苦労する。一度、熱湯をぶっ掛けて開けようとしたら、その熱湯が瞬時に凍り付いて益々困ったことがあった。

   オランダは低地で殆どフラットなので、雪が降ると全く雪で真っ白に埋まってしまう。
   しかし、風車や観光地のオモチャのような極彩色の民家が雪を頂く風情は実に美しい。
   30キロメートル以上一直線に続く大堤防の中の巨大なアイセル湖が完全に凍結して、人々が行き交い、帆を張った橇が湖上を滑ってゆく。

   しかし、このように寒い冬には、オランダ中の全部の運河が凍りついて繋がるので、全オランダ運河一周のスケートレースが開かれるので、全オランダが沸きに沸く。
   確か、優勝者のタイムは6時間少しだったように記憶しているが、真っ直ぐに繋がった運河ばかりではないので、陸に上がって橋を越えたり、とにかく、オランダの運河も色々あるのが分かって面白かった。
   アムステルダムの郊外のアムステルフェーンに住んでいたのだが、家のすぐ側に運河があって、家族はオランダ人に混じってスケートを楽しんでいた。

   雪の恐さを知ったのは、雪の日に、車を出して走り始めて途中でブレーキを踏んだら、車が半回転してしまった時である。
   オランダでは、雪が降りそうだと分かると、役所が車を出して事前に道路に塩を撒くので、冬季でも車はチェーンを付ける等と言った準備をせず普通に走っている。
この日は、途中から急に降り出して、それに、雪道を運転した経験がないので、急ブレーキをかければスリップすると言う初歩的なことさえ知らなかったので、平生どおりに走っていたのである。
   本来はビジーな道路だったが、休日で後続車がなかったので助かった。

   フィラデルフィアの冬も寒いが、東京と同じで雪は少なかったし、それに、ロンドンも雪は東京並みである。
   勿論、サンパウロには雪は降らないので、南米で雪を見たのは、ずっと南極に近いアルゼンチンのバリローチェやアンデスの山の中であった。

   旅の途中では随分雪景色を見た。
   やはり美しいのはヨーロッパ・アルプスの山々の雪景色である。
   一番最初に見たのは、スイスのベルンからヨッホまでケーブルで行ったユングフラウ、そして、シャモニーからモンブラン、最後は、マッターホルンであった。
   鉄道と登山電車で乗り継いだ旅であるが、私は写真だけだったが、家族は可能な時はスキーやスケートを楽しんでいた。
   マッターホルンなどは、観光客の大半はスキー客で、30畳以上もある大きなケーブルカーが一挙に多くの客を運び上げて、スキーヤー達は3000メートルの高地から一斉に飛び出して滑降して行く。

   寒い雪に凍てついた夜道を、舗道をほのかに照らすショウウインドーの輝きや外灯の滲んだ優しい光にホッとしながらホテルに向かって歩いていたあの頃のヨーロッパの街並を、時々思い出す。写真や絵画と重なって、あれは夢だったのかも知れないと思うこともある。
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