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始めて東大の安田講堂に入って講演会を聞いた。
大学の大講堂に入るのは、大体、入学式と卒業式の時だけだが、流石に東大、歴史を感じさせる素晴しい半円形の講堂で、二階席もあり、大きくはないがオープンで天井も高くてなかなか立派である。
我が母校、京都もフィラデルフィアもどんな講堂だったか忘れてしまったが、講堂に入ると何となく威儀を正したくなるのが不思議である。
昨日は、東大21世紀COEものづくり経営研究センターと日経の主催の「ものづくり経営とひとづくり」と言うシンポジュームを聴講した。
聴衆の大半は、年配の企業の管理職風で、中に学生がちらほら、日経主催の他のシンポジュームやセミナーと雰囲気が完全に違う、流石に東大である。
日本のものづくりとひとづくりを研究しながら、ものづくりインストラクター養成基礎講座も開設して教育している「東大ものづくり経営研究センター」の謂わば研究成果の発表の場でもあるのだが、伊藤元重教授のオープニング・リマークや、藤本隆宏教授の基調講演「ものづくりとひとづくり」やトヨタとアサヒビールの経営とひとづくりの話など結構興味深くて勉強になった。
2007年問題で、ものづくりの中枢を担ってきた有能な技術者が引退して行くのが問題となっており、如何にこの技術を維持継承して行くかがテーマになっている。
東大の調査では、引退予定の中高年のインストラクターへの供給も需要も産業界にはかなり高いと報告している。
しかし、現在東大では、個々の卓越した製造技術よりも、より汎用性が効き重要な「現場管理技術」の継承育成に重点を置いていて、日本のトップ製造業のトップ技術者をものづくりインストラクターとして養成する講座を進めていると言う。
伊藤教授の話は、最近の急激な経済社会の変化に触れ、ものづくりを取り巻く環境も大きく変わっており、これに如何に対処すべきかを説いていた。
最後に、少子高齢化で人口が減って行くが、経済成長と人口減とは大きな直接的関係はなく、経済成長を維持して行く為には、付加価値生産性を上げて行く事が重要で、イノベーションの追求が必須だと強調した。
藤本教授の講演は、この伊藤教授の理論に立っての工業立国の話であるが、面白かったのは、日本の製造業の競争力の強さの根源についての分析である。
日本は、現在、工業製品を輸出し、工業製品を輸入しながら原材料・燃料・食料を輸入する時代になっているが、貿易立国として日本が比較優位にあるのは、環太平洋唯一の「擦り合わせ・つくり込み大国」としてで、米国・中国と言う2大「寄せ集め大国」の間にあって補完的な存在なので十分競争力があるので自信を持つべきだと言う。
自動車を筆頭にチームワーク型で育成して来た日本の擦り合わせ型アーキテクチュアの製品は、世界に冠たる競争力を持っている。
これは、他社の真似の出来ないカイゼン等現場でのレベルアップや、お客からは見えない生産性アップ努力等の能力構築競争を企業内部で必死になって行っていて裏の競争力で強いからであると言う。
面白いのは、強い工場・弱い本社と言う理論で、日本の製造業は極めて高い現場力を持っているが、本社の戦略構築力と他との組織能力が低いとして、競争力を多層的にバランス良く涵養せねばならないと指摘していることである。
この東大のひとづくり経営研究センターは、この現場力を担う「現場管理技術」の育成を目的としており、極めて重要なことだが、あのアベグレンが老骨に鞭打って日本の経営の素晴しさを再びアピールしてくれているのであるから、今度は、欠けている日本の戦略経営学等トップ経営論の再構築を目指すことであろうか。
キヤノンもそうだが、アサヒビールも、神様の様な技術を持った人のためのテクニカルマスター制度を創設し、その弟子入り制度まで作ったと言う。
ドイツのものづくりの古くからのマイスター制度であるが、ものづくりの根幹は、世の中が如何に変わろうとも、究極はものづくりの技術で、機械もコンピューターも及びもつかない技術があると言うことである。
ただ、トヨタの説明では、レクサスは抜群だが、その他のトヨタの製品の質については韓国勢の追い上げが急だと指摘していたが、藤本教授が言う日本だけが得意の筈の擦り込み技術でも韓国の追撃を受けているのであろうか、一寸気になってきた。
ところで、口絵のお雛様は、高島屋で展示されていたスペインのリヤドロとハンガリーのへレンド製だが、所詮はイミテーションと思うのだが、偏見であろうか。
大学の大講堂に入るのは、大体、入学式と卒業式の時だけだが、流石に東大、歴史を感じさせる素晴しい半円形の講堂で、二階席もあり、大きくはないがオープンで天井も高くてなかなか立派である。
我が母校、京都もフィラデルフィアもどんな講堂だったか忘れてしまったが、講堂に入ると何となく威儀を正したくなるのが不思議である。
昨日は、東大21世紀COEものづくり経営研究センターと日経の主催の「ものづくり経営とひとづくり」と言うシンポジュームを聴講した。
聴衆の大半は、年配の企業の管理職風で、中に学生がちらほら、日経主催の他のシンポジュームやセミナーと雰囲気が完全に違う、流石に東大である。
日本のものづくりとひとづくりを研究しながら、ものづくりインストラクター養成基礎講座も開設して教育している「東大ものづくり経営研究センター」の謂わば研究成果の発表の場でもあるのだが、伊藤元重教授のオープニング・リマークや、藤本隆宏教授の基調講演「ものづくりとひとづくり」やトヨタとアサヒビールの経営とひとづくりの話など結構興味深くて勉強になった。
2007年問題で、ものづくりの中枢を担ってきた有能な技術者が引退して行くのが問題となっており、如何にこの技術を維持継承して行くかがテーマになっている。
東大の調査では、引退予定の中高年のインストラクターへの供給も需要も産業界にはかなり高いと報告している。
しかし、現在東大では、個々の卓越した製造技術よりも、より汎用性が効き重要な「現場管理技術」の継承育成に重点を置いていて、日本のトップ製造業のトップ技術者をものづくりインストラクターとして養成する講座を進めていると言う。
伊藤教授の話は、最近の急激な経済社会の変化に触れ、ものづくりを取り巻く環境も大きく変わっており、これに如何に対処すべきかを説いていた。
最後に、少子高齢化で人口が減って行くが、経済成長と人口減とは大きな直接的関係はなく、経済成長を維持して行く為には、付加価値生産性を上げて行く事が重要で、イノベーションの追求が必須だと強調した。
藤本教授の講演は、この伊藤教授の理論に立っての工業立国の話であるが、面白かったのは、日本の製造業の競争力の強さの根源についての分析である。
日本は、現在、工業製品を輸出し、工業製品を輸入しながら原材料・燃料・食料を輸入する時代になっているが、貿易立国として日本が比較優位にあるのは、環太平洋唯一の「擦り合わせ・つくり込み大国」としてで、米国・中国と言う2大「寄せ集め大国」の間にあって補完的な存在なので十分競争力があるので自信を持つべきだと言う。
自動車を筆頭にチームワーク型で育成して来た日本の擦り合わせ型アーキテクチュアの製品は、世界に冠たる競争力を持っている。
これは、他社の真似の出来ないカイゼン等現場でのレベルアップや、お客からは見えない生産性アップ努力等の能力構築競争を企業内部で必死になって行っていて裏の競争力で強いからであると言う。
面白いのは、強い工場・弱い本社と言う理論で、日本の製造業は極めて高い現場力を持っているが、本社の戦略構築力と他との組織能力が低いとして、競争力を多層的にバランス良く涵養せねばならないと指摘していることである。
この東大のひとづくり経営研究センターは、この現場力を担う「現場管理技術」の育成を目的としており、極めて重要なことだが、あのアベグレンが老骨に鞭打って日本の経営の素晴しさを再びアピールしてくれているのであるから、今度は、欠けている日本の戦略経営学等トップ経営論の再構築を目指すことであろうか。
キヤノンもそうだが、アサヒビールも、神様の様な技術を持った人のためのテクニカルマスター制度を創設し、その弟子入り制度まで作ったと言う。
ドイツのものづくりの古くからのマイスター制度であるが、ものづくりの根幹は、世の中が如何に変わろうとも、究極はものづくりの技術で、機械もコンピューターも及びもつかない技術があると言うことである。
ただ、トヨタの説明では、レクサスは抜群だが、その他のトヨタの製品の質については韓国勢の追い上げが急だと指摘していたが、藤本教授が言う日本だけが得意の筈の擦り込み技術でも韓国の追撃を受けているのであろうか、一寸気になってきた。
ところで、口絵のお雛様は、高島屋で展示されていたスペインのリヤドロとハンガリーのへレンド製だが、所詮はイミテーションと思うのだが、偏見であろうか。