ネットスポーツの恐ろしさ

卓球の世界団体選手権がモスクワで行われています。
日本チームは男女とも準決勝で絶対王者・中国と対戦、少し前の全く勝てる見込みがない時代とは違って、もしかしたら勝てるかもしれないという期待を持てるくらいの大善戦をしました。

その中国戦の中で、ネット系スポーツの試合の流れで象徴的な出来事があったと私の眼には見えました。

それは、女子準決勝日本対中国の第1試合、福原選手と丁選手との試合でした。

絶好調の福原選手が1,2セットを連取し、その勢いを維持しながら第3セットを迎えました。0-0、ラブオール。その1本目のラリーでの出来事でした。2セット目までの勢いをそのまま3セット目に持ち込んだ福原選手は、3セット目も1本目から完全に自分の試合運びをし、素人でも決められるだろうと思われるスマッシュのチャンスボールを得ました。ところが福原選手、これを雑にミスしてしまいました。

この瞬間、私の脳裏には、卓球ではなく、小学生バレーボールの大会でたくさん見てきた、「この1本の大ミス」の数々が一気に思い出されました。

ネット系スポーツは、“流れ”というものが試合を左右します。たった1本のミスかもしれませんが、実はそれが決定的な流れになってしまうことがあると思うのです。福原選手があのスマッシュを決めていたら、丁選手は完全に浮足立って、おそらく3セット目も勝っていたでしょう。そしてその勝利が後に続く選手の試合にも大きくプラスに影響していったことでしょう。

大一番では、「この1本」という勝負所を決められるかどうかで、勝ち負けが決まる。バレーボールでも、「このサーブが入っていたら逆転されることはなかっただろう」という試合を何度も見ていますし、「この1本のサービスエースで試合の流れが変わった」という試合も見てきました。

では、いったい「この1本」を取るか否かが何によって左右されるのでしょうか?
成果をあげている監督さんにたずねたら、おそらく「日ごろの練習量と練習内容による」と答えるように思えます。

あとは「運」ですね。


あっ!
そう考えると、教室での学習指導もそのくらいの峻厳な厳しさを教師が持っていても良いのではないかと思えてきました。子どもたちにはそんな厳しさは求めませんよ(笑)。教師自身が「勝負のポイント(指導のポイント)」を意識しているかどうかで、授業の勝負が決まるだろうと思えてきました。
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「今日は始めに授業をするよ!」

命の授業
腰塚 勇人
ダイヤモンド社

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辰巳ジャンプの練習。練習前にひと工夫してみました。

「今日は始めに授業をするよ。みんなよく聞いていてね。」
とスタート。バレーボールの練習なのに、いったい何が起こるのか? 子どもたちも不思議そうな表情をします。
「この本を読むからね。これは学校の先生が書いた本なんだ。この先生はスキーで転んで、首の骨を折ってしまったんだ。それで体が動かなくなったんだな。そんな先生がどんなふうに立ち直っていったのかを話している本です。」

そして静かに読み聞かせ。みんな真剣に聞いてくれました。
読み終わって、子どもたちの顔を見ると、多くの子が目に涙を浮かべていました。

「感想を聞かせてほしいんだけど、どう?」と声をかけると、次々に意見を言ってくれました。

「私は今、指を怪我していて、思うように練習できないけど、この先生のように首を折って体が動かなくなっても立ち直っていったことを知って、私の怪我なんて本当に小さなことなんだと思いました。」

「どんなにつらいことになっても、励ましてくれる人がいると立ち直ることができるということがすごいと思いました。」

「どんなときでも『大きな夢』を持っていると、奇跡のような力が出るんだと思いました。」

「この先生は、首の骨を折るということを『失敗した』と言って、次に『その失敗は夢に一歩近づいた証だ』と言っていました。だから私も失敗しても、くよくよしないでいいんだと思いました。」


この本の中に、バレーボールのチームにも必要な考え方があふれているのです。またそれは、学級経営にも大きく役に立つ「宝石のような言葉」なのです。

YOU TUBEの画像をはり付けましたので、ぜひご覧ください。

命の授業(腰塚勇人の宝地図ムービー)インストバージョン
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保護者の思い・・・読み聞かせ 平成22年度②

わたしのせいじゃない―せきにんについて (あなたへ)
レイフ クリスチャンソン
岩崎書店

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昨日の保護者の方による読み聞かせは、私も1年に1度は道徳の授業で使用する書籍「わたしのせいじゃない」でした。この本が日本で出版された1996年当時、スウェーデンの教育に活用されて成果が上がっていると知った私は、即座に教材化しました。子どもの集団内で起きているいじめに関して、「みんなでやったんだからわたしのせいじゃない」ということを言い続ける内容です。そして絵本の後に続く数々の社会的な問題を象徴した写真が心に響きます。
教師は持っていた方が良い本です。

「今回、なぜこの本を選んだのですか?」
という私の問いかけに、ママさんはこう答えてくれました。
「3年生の時に、松谷みよ子さんの『わたしのいもうと』を読み聞かせました。その続きとして、人とのかかわりを大切にしてほしいという思いを伝えたくて、この本を読みました。」

保護者の皆さんによる読み聞かせは、単に読書に親しむだけでなく、読んで下さった方の『思い』がこもっています。それはおそらく10年後、20年後、子どもたちが大人になった頃にじわじわと影響を与えていくにちがいないと私は思います。

わたしのいもうと (新編・絵本平和のために)
松谷 みよ子
偕成社

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