地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ジャカルタ炎鉄録 (32) JALITA!8613F

2009-11-20 14:58:00 | インドネシアの鉄道


 今から1年少々前、恩田ウォッチをした折に偶然8613Fの廃車回送を撮影し(昨年10月29日付記事をご参照下さい)、何処に行くことになろうとも必ず会いに行ってやるからな……!と心に念じたものですが、まさかその後8613Fが強烈なカラーリングを纏うことになろうとは夢にも思っておりませんでした。8連化されて恩田に送られた編成の常として (?)、結局8613Fはジャカルタに送られたわけですが、ジャカルタの電車事情を伝える各種ネット記事を拝見していると……当初は順当に (?) 黄+黄緑帯でデヴューした8613Fがすぐに模様替えに入り、何と「歌舞伎」8000系を激しく思い出す姿……と申しますか一層「歌舞伎」度をパワーアップした姿に変わったではありませんか!! PCの画面に思わず視線が釘付けになり、口を衝いて出てきた言葉はただただ「かっけぇぇ……」の一言 (爆)。いやはや、これは日本とインドネシアのデザインセンスが激しくスパークして昇華した一大傑作である、と個人的に勝手に解釈しているところです(*^O^*)。
 この8613F模様替えの背景につきましては、現地発信のHP「JABOTABEK RAILNEWS」さんでご紹介されている通り、インドネシア鉄道ジャボタベック事業部のジャボデタベック鉄道への改組、ならびにタンジュン・バラット駅のリニューアルを記念してのものであるようです。では、行先表示部分に貼られた「JALITA」とは何ぞや……? どうも「JAlur LIntas JAkarta」の略であるそうですが、駅のアナウンスやジャボデタベック鉄道公式HPの記述を参照するにつけ、Jalurは線路、Lintasは路線という意味のようですので、さしずめ「ジャカルタ鉄道ネットワーク」を意味する造語でしょうか? (違っていたらスミマセン ^^;) ちなみに、「JALITA」ステッカーの下にあるLED表示は今でも生きていますので、夜になるとぼんやりと「錦糸町」etc..の表示が浮かび上がるという……(^^;;)。 



 そんな8613F「JALITA」はボゴール電車区に所属していますので、基本的にジャカルタ・コタまたはタナ・アバンとボゴールの間を急行またはエコノミーACとして往復する運用に入っておりますが、この中には1往復、午前10時台にタナ・アバンからアンケまで延長運転する運用がありまして、環状線を約1周した際にアンケ駅で8613Fを目にした瞬間、駅周辺の超下町な雰囲気と余りにもかけ離れていて仰天 (^^;)。う~ん、そのうちドゥリ駅の線路上バザールをかき分けて8613Fが走るシーンを撮ってみたいですね (爆)。
 いっぽう、8613Fといえば……急行「パクアン」で中央~ボゴール線を往復した際にたまたま当たったのが8613Fでありました! 急行「パクアン」は、日中ダイヤの場合ジャカルタ・コタ~ボゴール間の約60kmをほぼ1時間で走り切る俊足の列車であり、しかも都心部ではジュアンダ&ガンビール&ゴンダンディアの3駅連続停車や、「関所」マンガライ通過時の運転停車があるなどスピードが抑えられているため、その分マンガライ~ボゴール間では思い切り飛ばすのが常。加えて、ボゴールは標高300m台のちょっとした高原でありまして、とくにタンジュン・バラット~パンチャシラ大あたりから先ではひたすら上り勾配となります。ボジョン・グデ~チレブット~ボゴール間に至っては、20‰前後の急勾配が10数kmにわたって続くという……(あくまで見て乗ってみた感じであり、正面にかぶりついて確認したわけではありませんので悪しからず ^^;)。というわけで、午前10時半過ぎにジャカルタ・コタを出発する8613Fの急行に乗ってみたところ……一応文教地区をちょうど良い時間帯に通過する列車ということで、マンガライ通過後はテベット&インドネシア大&ポンドック・チナに停車し、理想のノンストップとまでは行きませんでしたが、いや~速い速い! もちろん、長津田~中央林間間のようなブッチギリの130km/h・神秘的な域にまで達するモーター音というほどではありませんが、とにかく100km/h前後の高速を維持しながら急勾配をひたすら登って行くのです……。そして肝心の線路はロングレールではありませんので、盛大に響き渡るモーター音とジョイント音が重なって、涙ぐましいほど感動的なシンフォニーが奏でられているという……(*^O^*)。
 いっぽう、ボゴール発ジャカルタ・コタ行「パクアン」は17:15発の最終便(夕方のボゴール発電車はガラガラですので、急行運転終了も早いという……^^;) に乗ったのですが、下り急勾配の連続走行時にも電気ブレーキを使用することから、常に惚れ惚れする音が床下から響き渡っていることに変わりありません (^O^)v。むしろ、ボゴールを出るとゴンダンディアまでノンストップですので(実際にはマンガライの手前で待たされますが ^^;)、よりスピード感を味わうのであれば悪くない選択であると言えましょう。
 何はともあれ、「JALITA」の強烈な印象に加えて、急行でボゴールまで往復したことで、私のジャカルタ初訪問における8613Fの存在感はとてつもなく大きなものになっていたのでした……。長津田検車区内でしばらく全く動かず、雨露に打たれるに任せるのみの悲惨な姿だったのがウソのようです。