
大体そもそも成金な国が、より良い社会と技術をつくるために長い時間をかけて多くの人々が努力し協力してきた過程を一切すっ飛ばし、金にものを言わせてキラキラしたものを買い漁って寄せ集め、使いこなせず問題が起こり面子がつぶれたとなると原因を究めようともせず穴に埋めて隠蔽するようでは、どれだけGDPを膨らませようとも永遠に世界の尊敬を受けることはないのは自明の理でしょう (詳細な現場検証や事故車両の保存調査を通じて失敗を今後に反映させるとすれば、この国のシステムにはやや光明もあるでしょうが……事故そのもの以上にその逆をやってのけたことにとにかく唖然……)。
というわけで、そんな国の現在の発展段階を鑑みるに、緑亀 (東風4形) が牽引する緑皮車 (ダークグリーンにアイボリーの細帯が入った22系・25系客車) の旅こそ依然として最もお似合いであるように思います。しかもCNRが高速列車を増やして一般の客レを減らした結果、北京~上海間では高速鉄道に乗る経済的余裕などない膨大な数の人民が本数の少ない客レに殺到し大変な事態となっているとか……。そう、今の中国に必要なのは身の丈に合わない高速鉄道ではなく、伝統の北京~上海間緑皮車急行であり、全国緑皮車ネットワークの再構築なのでしょう (爆)。え?せめて空調付きの紅皮車や160km/h対応の藍皮車にしろって……? とりあえず私は緑皮車ヲタなものですみません (笑)。
しかし、去る3月の震災直後に少々香港から深センを訪れ、そのついでに広深線に乗った際には、深セン駅に停車していた緑皮25系を撮影することが出来ず悲しい思いをしましたので (列車別改札&不使用ホーム閉鎖のため)、その代わりに香港鉄道博物館のダークグリーンな面々をアップしてみましょう (どういう前振りだ ^^;)。

香港鉄道博物館は、今や12両編成の電車が頻繁に行き交う九広鉄路あらため香港鉄路東鉄線が複線電化された1983年まで走っていたDLや客車の現物を保存するべく、旧・大埔墟 (Tai Po Market) 駅の土地を活用して1985年にオープンした施設であり、今や香港郊外の一大ベッドタウン玄関口として発展し賑わう大埔墟駅から徒歩約15分ほど。活気あふれる古き良き商店街を横目にのんびり歩いて行きますと、こんもりと生い茂る瑞々しい緑に囲まれた鉄道車両の別天地が広がっています♪ しかも、夕方5時までの開館時間内であれば誰でも無料で参観できるという太っ腹ぶり! 華南の家屋に通じるデザインの旧駅舎=展示室の立派さもさることながら、九広鉄道の車両陣が上々な状態で保存展示されているのは圧巻 (?) で、DLと一部の客車は屋根をかけられずあくまで現役時代を彷彿とさせる雰囲気で眺めることが出来ますので、思わずカメラを持つ手に力が入ります (^O^)。
う~ん♪ 如何にも社会主義然とした大陸のダークグリーンとは異なり、さすが英国流儀の上品さが漂うダークグリーンに塗られたアメロコですなぁ……(*^_^*)。とりあえず香港と大陸のあいだの往来は、1970年代末から大陸持ちで広州~九龍を結ぶ「直通車」の運行が始まり、さらに1983年に香港側で電車の運行が始まり、大陸における改革開放の開始もあって劇的に変わっていったものですが、伝統的には (とくに70年代末までは) ごく限られた「友好人士」が九広鉄道・毎時1本程度の鈍行客レに乗って羅湖に向かい、草むしたボロい橋を渡って田んぼのど真ん中の深セン駅から中国側の列車に乗るというものだったとか。そんな時代に国境越えをやってみたかったですなぁ……。
なお、今回は香港での滞在日程の都合上日曜日に訪問したため、余り広くない敷地内には地元・香港住民の皆様がいっぱい!! なるべく人を入れないように車両を撮影するのは実に面倒臭いという……(@o@)。まぁ、そもそも決して広くはない香港という土地において、この手の近代化遺産を手軽に楽しめるスポットはある意味で非常に貴重でもあり、しかも英国植民地時代も香港史の重要な構成要素として適切に評価する気風がありますので、家族連れが教育を兼ねて一日をのんびり過ごしたり、カップルが古い車両をバックに記念写真を撮るなど、とにかく大賑わい。もちろん、ここは川一本を挟んで大陸とは全く違う文明礼貌の地ですので、それはそれで実にほのぼのと香港らしい光景ではあるのですが、とにかく車両をマイペースで撮りたいという方は平日の訪問をオススメします。

如何にもブリティッシュ・コロニアルな雰囲気が何とも魅惑的な妻・窓の客車ですが……逆光過ぎ (汗)。他に期待していた日本製客車(たしか近車製?)は、極めて狭いスペースの関係で形式写真っぽく撮影出来ないのが残念~~。

上の客車と同タイプの車両の車内。頑丈そうな車体とは対照的な、華奢な木製転クロ (スターフェリー様式ですな) や裸電球、そして大型カバー付き扇風機が良い感じ♪

そしてこちらは日本製客車の車内☆ この何とも言えない巨大空間感がサイコーです♪ 一部は電車への置き換え後、確か大陸側に譲渡され、広西のド田舎のローカル線混合列車用として活躍 (?) したのち数年前に廃車になったとか……。

頭等車(1等車) の車内。椅子が桁違いにデラックスなため、訪問客が多数休憩に利用しており、完璧な車内写真なんて撮りようもありません (苦笑)。