入場客を乗せたトロッコがラックレールの急勾配を経て交換地点に到着~。
モーターカーが人車を置き去りにしていきなり無人運転! (無線操縦)
モーターカーが転線し別の編成と連結されたのち、人車が猛加速で発車!
客を通洞坑内の見学順路入口で下ろした後、空の人車が戻って来ました。
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今から約40年前に閉山した足尾銅山は、如何せん極めて壮大な規模を誇っただけに、現在でも当時の遺構が多数残され、まさに日本人が酷愛する「荒城の月」的世界が展開していますが、勿論その一部は往時を偲びつつ産業と環境を考えるための観光スポットとして活用されています。それ代表格が今回の目的地「足尾銅山観光」であり、今日日本各地に点在する鉱山観光の先駆け的存在ともいわれます。鉱山観光ということは、名が体を表すという言葉通り、往年の採掘坑内にを参観するところに魅力があるのですが、ここ足尾銅山観光の最大のみどころは……何と見学コースの一部にトロッコ列車が導入されていること♪
というわけで、今回の足尾訪問の一つの目的は、「果たしてこのトロッコ列車というのはどんなもんじゃい?」という長年のギモンを解消し、甥っ子に遊園地のアトラクション気分を味わわせてやること (笑)。事前に少々調べてみますと、トモエ電機製のバテロコが人車を牽引するらしい……ということが写真とともに分かるのですが、やはりスケール感や速度までは窺い知ることは出来ず、せいぜい「それっぽい」程度なのだろうという認識にとどまっていたのでした。いやいやしかし、百聞は一見に如かず! そんな甘っちょろい想像は浅薄だった!と痛感し反省させられるほど、ここのトロッコ列車は超本格派だったのでありました……!
まずは日光からのバスを降りて入口ゲートに向かい入場券をゲットしますと、そこは15分間隔で発車するトロッコの待合室。要するに、順路の最初として誰もが必ずこのトロッコに乗ることになっているという次第。もっとも、すでにお目当てのトロッコはホームに横付けされており、しかも係員氏が「もうすぐ発車しますよ~」と仰るので (開館時間中は総じて毎時00・15・30・45分発)、余り外観を味わう暇もなく「えいやっ」と乗り込みますと、すぐに外側から扉が閉められ、ガクンという衝撃とともに発車! ラックレールの急勾配を最徐行でユルユルと下って行く中、甥っ子と「マジかよこれ!」などと言いながら車内を眺めてみますと……これは往年の人車とほとんど同じ様式であり、決して遊園地のアトラクションとは同列に出来ないことが瞬時に分かります。
急勾配を下りきりますと交換スポットがあり、ここでトロッコは一旦停止。反対側の線路には別の人車3両が停車しています。「これは予備車かな?」と思ったもののさにあらず! まず、これまで勾配を下ってきた編成の先頭に立っていたバテロコは切り離され、何と無線操縦・無人運転で転線! 別の人車3両と連結され、やがて空車のまま次の客を迎えるべく入口へと登って行きます。いっぽう、人車だけになった客扱い編成には運転手氏が乗り込み、イキナリ猛スピードで発車!! 何とこの人車もバッテリーで自走するのですなぁ……!! そしてすぐに通洞坑のいかめしい坑口に突っ込み、裸電球にぼんやりと照らし出された坑内を猛スピードで激走! (いや勿論大したスピードではないでしょうが、乗っている分には物凄い速度感です……。九州の炭鉱には時速50kmで走る人車もあったそうですから、一般的に人車も整備された平坦線であればそれなりにかっ飛ばす実力があるということなのでしょう) そんなこんなでひとしきり数百メートル走ったのち、下車地点に到着~。ヒンヤリした冷気にポタポタ垂れる地下水はまさに鉱山そのもの……。延々と張り巡らされた通洞坑ですが、ここから先の区間は柵が立てられ前進することは出来ず、訪問客は出口に近いごく一部の坑道をめぐり、最後にトロッコの交換スポット前に出て来て、貨幣展示場とお土産売り場を経て出口に至ることになります。
今回アップした画像は、そんなこんなでお腹いっぱいになった後、約1時間の周遊を改めて反芻するように激写したシーンであります (笑)。警報機のない踏切での安全に十分配慮しさえすれば、こんな感じで濃いぃシーンを記録出来るというのもまたいとをかし☆ 周りに観光客を入れたくなければ平日がオススメですね~。