地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ハノイ懐旧鉄散歩 (16) D19Eの海防急行

2012-08-04 00:00:00 | ベトナムの鉄道


 東急や京阪のベトナム事業計画や、三菱リージョナルジェットのベトナム航空納入契約など、日本とベトナムとの経済関係強化は目覚ましいばかりですが、忘れてはいかんのは……ベトナムも一応共産党政権であり、猛スピードでの経済発展のために一般庶民そっちのけの開発に走りやすいという体質がないわけではないことでしょうか。キタイ国で地方の党官僚が経済発展(&自分の業績アップ) のために日本の製紙会社に排水面での便宜を図ったら、環境破壊を恐れた民衆が「これだから共産党地方幹部は許せぬ!」とばかりに地元政府に乱入してメチャクチャになったという事件が起こったばかりですので、何とかベトナムではこのようなことのなきよう(とりわけ良好な日越関係は中共を抑え込むための「核心利益」ですからなぁ~)、本朝の関係者の皆様におかれましても周到万全を期して頂きたいものだ……と、どーしよーもなくチョロい趣味ブログの管理人ながらも思う次第です。
 というわけで、ジャカルタ行きが迫る前に、春のベトナム・ハノイネタは片付けておきましょう (^^;)。撮った罐を、形式を示す数字の順番にご紹介してきましたが、そのシリーズの最終回としてD19Eをアップしてみましょう~。この罐は、中国国鉄に詳しい方でしたら一目瞭然……大量に製造された超スタンダード罐である東風4型のメーターゲージ用ダウンスペック版としか言い様のない風貌と性能であり、2003年以降中国南車・資陽工場 (湖南省) で量産され、「ドイモイ (刷新=ベトナム版改革開放)」という愛称とともに主要旅客・貨物列車の先頭に立っています。



 今回の訪問では、標準軌・ハロン線の満鉄客車と並んで、ハロンへ向かう往路の序幕としてハノイ→ハイフォン (海防) 間のメーターゲージ急行列車でも乗り鉄を楽しんだのですが、このハイフォン急行の本務機として活躍しているのもドイモイ・D19Eであります。
 ハノイ~ハイフォン間で毎日4往復運転されている旅客列車は、かつてはそれなりに賑わったのかも知れませんが、今日ではデラックスな冷房バスの頻繁運転に押されて些か苦戦中。そこで、現在では途中の小駅は飛ばし、ハイズオン (海陽) など数駅にしか停車しない急行列車 (所要約2時間) として運転されているほか、サービスアップ・多様化策の一環として、車両運行会社の参入が認められている結果、国鉄が所轄するダークグリーンの硬座車だけでなく、
 *エアコン付き軟座車1両 
 *エアコン付き・クッション付きボックスシート車 (セミ軟座車) 1両
 *エアコン付き・木製シートの硬座車1両
……といった車両が連結され、客は気分と支払い能力によって、等級が上がるごとに1万ドンほどプラスされる切符を購入して乗り込むことになります。最も豪華なエアコン軟座車は確か10万ドンもせず (切符は回収……)、日本円で約500円未満といったところですが、最近は結構物価が上がり、ハノイ界隈ではフォー (米粉うどん) 1杯3万ドンは当たり前という有様ですので、恐らく軟座車に乗るヤツは多いだろうなぁ……と思いつつ夜明け前のハノイB駅で切符を購入したところ、果たせるかな、発車時点では軟座車の乗車率が一番高くなっていました。それでも1両あたりの客は20名程度……。硬座車に至っては誰も乗っていない車両もあり、これは何とも競争力の低下が心配……(-_-;)。もっとも、午前中ハノイに到着する列車は結構大入りでしたので、まぁ杞憂なのかも知れませんが。
 ハノイB駅を6時に発車したハイフォン行は、まず旧市街のヘロヘロ線路を経てゆっくりと煉瓦積みの高架へと上り、他の3本のハイフォン行始発駅となっているロンビエン (龍編) を通過~(アサイチの便のみハノイB駅発ですので注意! ハノイB駅は、線路・ホームこそハノイ駅と同じですが、方面の違いゆえ統一鉄道ハノイ駅と別の駅舎となっています)。そしてロンビエン橋を最徐行で渡り、ザーラム (嘉林) 駅で中国・南寧から到着したばかりの25K紅皮車と御対面~。その後はハイフォンまで直線気味の、ベトナムで最も整備された線路を時速80~90kmほどで快走して行きます♪ 30~40分も走ると開発区ばかりの風景が途絶え、田植えを終えたばかりの農村の風景が眼に沁みます♪ ハイフォンに近づきますと、当たり前ですが再び都市的景観が現れ、踏切には膨大な数のバイクが (汗)。やがて旧市街の中をゴトゴトと縫って走り、白亜の洋館風駅舎が素晴らしいハイフォン駅に到着! 
 こんな感じで、恐らくハノイで最もお手軽に楽しめるハイフォン往復鉄道の旅、おすすめです☆ 但し……軟座車は韓国ムグンファのお古のようなリクライニングシートを使用しそこそこ快適ですが、走行中は頭上の乗客暇つぶしサービス用ビデオがやかましいですので念のため……(-_-;)。