地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第七ジャカルタ炎鉄録 (9) メトロ05-102F

2015-11-07 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 先日神保町の書泉を訪れたところ、『世界の地下鉄・ビジュアルガイドブック』(日本地下鉄協会編・ぎょうせい)が売られているのを発見して即ゲット♪ 前回『最新・世界の地下鉄』が刊行されたのは2005年の話ですので、以来早いもので約10年、その間世界各地の主要都市で進んだ地下鉄建設の状況が手に取るように分かります。ただ、全てを網羅すると膨大な内容になるため、今回は「日本人の興味を引きそうな都市」に限定し (→したがって、例えば平壌が載っていない -_-)、その代わりA4版として路線図が非常に大きく見やすくなっています。



 そこで、早速帰りの田都車内でつらつら眺めていたところ、やはり北京やら上海やらデリーやら、極めて短期間のうちに路線網が膨張し、全く以てワケワカメな気分です (笑)。いっぽう、A4と大きくなった分、路線図をつぶさに眺めてその都市の性格を想像したり、駅名を口元でゴニョゴニョと反芻するのが何とも楽しい……。その中でもとりわけ、ロシア語とペルシャ語の響きは最強なのではないかと……。例えば「クラースノ・プレスネンスカヤ」(露)、「メイダーネ・アーザーディー」(波)なんて、身もだえしそうな美しさではないかと……(拙ブログのド偏見メーターによる)。これに比べたら、他の言語の地名なんて泥臭いです (爆)。とくに北京地下鉄なんぞ、「○○営」という駅名が沢山あるあたり、さすが本来ド田舎の軍事都市から出発したところらしい西部劇的響きだぜ……。

 そんな世界地下鉄網の中に、超巨大都市ジャカルタが依然として名を連ねていないのは、明らかにインドネシアという国の交通政策の失敗としか思えないのですが、まぁそこらへんは現在必死にMRTやLRTの整備を進めているところですし、何と言ってもKAIの線路上を東京メトロの電車が大量に走っていることを以て、地下鉄の不在を補っていると見なすことも出来るでしょう。
 ところが……そんなジャカルタのメトロ陣営のうち、スルポン線を走行中の05-102Fが出火したとは……。詳しい内容は、いつもお世話になっておりますパクアン急行様のブログをご覧頂ければと存じますが、当面は……8両化で余っている中間車を再整備のうえ新編成を組むことになるのでしょうか。しかし今後、様々な理由により事故や故障が増えれば、05系でも共食いの開始か……。早朝でガラガラな電車での出火ということは、整備不良の可能性が高いわけで、ランカス電化やチカラン電化も良いけど、車両の整備も是非いっそう注力して頂ければ、遠来のヲタとしても嬉しいですね……。


バゴー地区の「軽便」LRBEの旅 (2)

2015-11-04 12:00:00 | ミャンマーの鉄道


 訪問日の主役参上! LRBE9。



 後ろのナゾ顔、そして駆動部分の構造はこんな感じ。



 英国風ポイント操作小屋と腕木信号をバックに徐行~。



 LRBTと連結されて間もなく出発進行!

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 バゴーからニャウンカシーへの軽便的LRBEの旅、とりあえずバゴー駅の中線に留置されているマッチ箱のようなLRBTを激写したあとは、忘れないうちにニャウンカシーまでの切符 (今年3月時点で300ks。超絶に粗悪なボール紙の硬券に、印刷がにじんでさっぱり読み取れないビルマ文字が印刷されています) をゲットしておきます。貫通幌というものはLRBE・LRBTともども全く存在しませんが、専務車掌氏は必ず検札にやって来て、乗客の顔を神業で覚えていますので (既に検札した客はスルーして、途中から乗った客の検札を漏らさずやっていました)、タダ乗りは絶対に不可能であることを付言いたします。なお、切符売り場は駅本屋の昔気質な出札口ではなく、駅本屋側から線路に歩いて渡る手前の柵の前に青い小屋があり、そこで購入します (外国人運賃を米ドルで払っていた当時は、ニャウンカシー行きの切符もご多分に漏れず駅事務室内で買っていたようです。しかし、先日たしか日経新聞で目にしたところによりますと、ヤンゴンのホテル代の支払いにおいて、米ドル払いが完全に禁止されたそうな……時代は変わったものです)。
 それはさておき、こうして乗車前の下準備を終えた後は、「何が来るかなぁ~」ということで、機関区への引き込み線へ(自然発生的に出来た「人道踏切」からアプローチしますが、そこから先の機関区へは入ってはいけません)。そこで待つことしばし……バッバーッ!とけたたましいタイフォンが鳴り響き、赤とクリームのRBE標準塗装に身を包んだ本日の主役=LRBE9が姿を現しました! (^O^) 空荷の状態で運転台側を前に進む場合には、下回りが日本のトラックを改造したシロモノだけに、結構スゴい加速でビックリさせられます (^^;)。運転台側のマスクは2枚窓+通風口という、LRBEでは割とありがちなお茶目顔ですが、後部のマスクは運転台を設置するつもりはないのに敢えて準備工事っぽく見せて、結果的にイカツイ装甲車っぽく見える (いや、見えねぇか……。せいぜい怪しい一つ目小僧といったところか?) あたりが、なかなか創意工夫に富んでいる感じがします♪
 そして……一旦構内北端に出たLRBE9は、一つ目側を先頭にして、最徐行でLRBTに接近……。初めてバゴーを訪れたときもそうでしたが、このシーンを連写しまくるときが、一番ココロ高ぶりますねぇ……。英領時代からのポイント操作所を擁する広大な構内を、こんな間抜けでキュートなシロモノがちょろちょろと動き回っているわけですから……(*^^*)。
 というわけで、LRBTと接近して連結されるところを激写したのち、超速攻で乗降口にダッシュし、無事座席確保に成功したのでした☆ そしていよいよ出発進行! 前輪駆動のトラックの推進力を後部のレール面押さえつけタイヤに伝えるためか、「ズグォォォォ~ン!」という、バスとも釣掛式電車とも異なる、何とも表現しようのない豪快な音を立てて、バゴー駅の構内を抜けてモウラミャイン本線へと入っていったのでした……(続く)。

変わりゆく南海2015 (2) 関空急行4連

2015-11-03 00:00:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 南海本線ではいつの間にか8000系が増えただけでなく、このたび8300系も登場したということで、今後は7100系が淘汰されて行くことになるのでしょう。しかし今のところ、7100系はタマ数が多いため、少々待てば必ずやって来てくれるのは有り難いところです。7000系との違いは、機器の細かい配置を除けば、基本的に片開き扉か両開き扉か、という程度ですし……(^^)。
 というわけで、そんな7100系が4連普通からラッシュ時の長大8連急行に至るまで、縦横無尽に活躍するのを眺めるのは、関東からやって来る一介のヲタに過ぎない私にとっても最高の喜びなのですが、去る7月の7000系新塗装鉄コレ即売会の日には、とんでもないシロモノを目にしてしまいました……。休日の真っ昼間に超!スシ詰めでやって来た4連の空港急行なんば行!! (@o@)



 南海本線は、平日の日中は割とスカスカ気味で、その証拠として高野線で余った2000系の4連普通でも余裕で間に合ってしまうという現実があるわけですが、休日は大阪中心部への買い物需要が旺盛であるらしく、普通列車の多くに7100系の4~6連が起用されています。ということは、南海本線で日中最も混み合う列車である関空急行が土日ならなおさら混むことを意味しているわけで、最近では泉北線で余った3000系が南海本線に移籍した後も8両固定編成の輸送力を遺憾なく発揮して、土日日中の関空急行でも大活躍しているところです (平日日中でも3000系8連で来るのを見たことがあります)。
 そんな関空急行ですが……ダイヤ乱れ時の偶然ではあるものの、驚異の4連を撮影してしまいました (滝汗)。去る7月の鉄コレ7000系新塗装即売会のち、フツーに南海本線で撮り鉄してみたところ、人身事故の影響による約2時間の全線抑止を経て、11時頃から徐々に運行再開……。そこで、堺から粉浜に移動して、この連載にて前回アップした桃のラピートなどを撮った後、さらに普通に乗って北上したのですが、日中の普通とは思えないほどメチャ混みで参りました。「普通でもこれほど混んでいるということは、まだ全く来ない上り優等列車はどれだけ混んでいるのか」と思いつつ待ち構えたところ、何と!そこにやって来た最初の関空急行なんば行は7100系ブツ編成の4連!! 新今宮から北でも車内は寿司詰めでしたので、天下茶屋到着前は果たしてどれだけ超絶に混んでいたのかと思うと……偶然こういう珍編成を撮る側で本当に良かった……と思ったのでした。
 ダイヤ乱れにより、やむを得ず普通用の4連を関空急行に充当したのでしょうが、「遅延がさらなる遅延を呼ぶ典型のような、かなりまずい配車だったのではないか」と愚考します。とはいえ、撮る側としては「ネタ過ぎてラッキー♪」と思うわけで、本当に鉄ヲタって自分勝手ですね (爆)。
 なお、この編成はこのあと住之江に回送され、別の編成が差し替えで出庫して来ました。当然ですな……。

第七ジャカルタ炎鉄録 (8) 東急8003F

2015-11-01 12:00:00 | インドネシアの鉄道


 すっかり連載の間が開いてしまった8月のインドネシア遠征の記録……もちろん、インドネシア新幹線をめぐるゴタゴタに衝撃を受けたことが影響していないわけではありません。まぁこの問題につきましては、鉄ヲタ界の中で最も事情通でおられる落花生。様が既に的確この上ない総括をされておりますので、とくに敢えて何か門外漢が付け加える内容はございません。
 しかし同時に「あちゃー」と思ったのは、この一件で迷走を続けたインドネシアが中国と契約することになってしまったことを以て、あたかも「インドネシア=反日」であるかのような単純極まりないネトウヨ思考が一時期ネット上に蔓延したことでしょうか。をいをい……そんな単細胞が日本の今後を左右するのであれば、これ以上怖いことはないだろう……と。インドネシアはインドネシアで、あちらの事情に応じていろいろな国と商売しているわけで、とりわけ現与党の大ボスの父親は「ナショナリズムとコミュニズムは調和するのだ」と宣って中共とズブズブだった歴史があり(そんな激しい中国傾斜があったからこそ、その後の反共反中クーデタも起こったという……)、いっぽう日本については、田中の角さんがジャカルタを訪れれば卵が飛んでくる時代があったかと思えば、今では多くの人が日本に親しんでくれているという有り難い状況もあり……(今回の決定は何かの間違いと思っている人も多いことでしょう)。そして最近のニュースを見ても、日本のM商事と華人デベロッパーがチカラン新都心の大開発を進める話とか、ジョコウィ政権がTPP加盟を目指す話とか、どちらともとれない曖昧な状況の中でいろいろな話があるわけです。そんなグダグダな中でちゃっかりと利益とイメージを伸ばすことこそ、日本にとって一番大事なのではないっすか?と愚考します。そんなことも分からないネトウヨが中国とインドネシアを云々するのは噴飯物でしかありませんなぁ~(以上の放言についてのコメントはご遠慮下さい)。



 というわけで、そんなカオスなインドネシアだからこそ面白い。ここのところ新興国を襲う「中進国の罠」にインドネシアもはまりつつあり、経済成長鈍化が今後のインフラ投資にどう影響するか分かりませんが、少なくとも依然として不足しているインフラ建設を進めるために、日本も含めていろいろな国がからみ、そのからみ具合がさらなるカオスを作って行く、というものでしょう。
 とりわけ鉄道という観点からみれば、完全に中国と一部華人資本だけで新幹線が経営されるということで、対抗を迫られるKAIは日本の在来線高速化技術を一層頼ってくれるかも知れませんし、あるいはそこに実績ある日本と米GEではないメーカーが絡んできて故障祭り(=という名のネタ祭り)を展開してくれるかも知れません。ウリナラHorec ACが僅か2ヶ月で全編成離脱したという衝撃的大失敗に続き、ドイツが絡んだKFWが結局長続きせず全車離脱し、続々とマディウンのINKAに送り返されているということで、電車に関しては日本勢が圧倒的に信頼を受けている中、今度のジョグジャカルタ地区電化でフランスがうまくやるのかどうか注目されますし、あるいは電車づくりの失敗でKCJから嫌われたINKAが、今度は中国中車と組んで中国臭い客車を導入しないとは言い切れません。
 そんなカオスな中、日本が引き続き存在感を発揮し、インドネシアの人々の日本に対する好印象をつなぎ止めるのであれば、やはり首都ジャカルタにおける日本中古電車の存在感・広告塔としての役割は絶大なのだなぁ……と再認識させられます。とはいえ、今回の訪問時には205系が凄まじい勢いで増殖し、中央線高架では205系以外の電車が滅多に姿を現さないようになった分だけ、都営6000やJR103などと並んで東急8000系列もすっかり存在感が薄くなり、広告塔は完全に赤いマスクで編成数も多い千代田線6000系やJR205系に写ってしまったのだなぁ……と思います。そこで、これまで約10年にわたり (とくにメトロ7000以後のメトロ・JR時代になるまで) 日本中古電車を代表する広告塔であり続けた東急8000系列をねぎらうべく、数回に分けて現在の活躍の状況をアップして参ります。
 まずは車番からして8003F! 石をぶつけられる機会が大幅に減った時代の寵児たる205系と比べると、車体の凸凹が随分と結構目立つように見えるなぁ……ということで、下手をすると引退も視野に入りつつあるのかも知れませんが (取りあえず全検に入るかどうかが運命の分かれ道)、一日でも永く走り続けてほしいものです……。