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ミステリ感想-『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

2006年07月06日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。
※カバー裏より転載


~感想~
やられた。
読了と同時に世界が壊れた。
そして崩壊したのち再構成された世界は、まったく違う色を鮮やかに見せてくれた。
使い古されたなじみの手ではある。しかし、それが恋愛小説というジャンルで用いられると、ここまでの破壊力を帯びるとは。
なにを書いてもネタバレになってしまうため細かいことはいえないが、真相が明かされると同時に、ある人物の印象が一変してしまい、それとともにこれまで見てきた物語が、見たこともない物語に姿を変える、これぞまさにミステリのカタルシスである。
これだからミステリはやめられないのだ。この衝撃を求めて、僕のようなミステリバカはミステリをあさりつづけるのだ。これぞミステリバカで良かったと思わせてくれる大傑作。
読了後にはこちらのサイトの全ての伏線を網羅しているんじゃないかと思わせる詳細な解説をぜひご覧あれ。
読了後、疑いなく誰もがもう一度読み返すだろう今作の、最高のガイドブックとなってくれるでしょう。
この解説込みで10点満点!


06.7.5
評価:★★★★★ 10
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