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ミステリ感想-『消滅島 RPGマーダー』柄刀一

2008年03月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
この島はあと1、2時間で消滅する――。
聖なる島を訪れた天地龍之介は、奇妙な言い伝えを知る。沖に浮かぶ小島が消えたという伝承は真実なのか?
炎に包まれた人間が地面に消え、神の船は空に出航した。台風が直撃し、たび重なる余震で孤立状態となった島で、やがて伝承どおりに島は消滅した!?


~感想~
柄刀長編の初体験。短編をいくつか読むたびに疑問だったのだが、なぜ作者は龍之介を三十路を過ぎた男にしてしまったのだろうか。これが天才少年だったら許せるのだが、僕より年上の人間がこんなに子供っぽく、無邪気に(ある種幼稚に)していたら不気味でしかたないのだが。
それはともかく、島田荘司の後継者と目されるにふさわしい、大仕掛けのトリックは、しかし伝承と密接に絡み合うところまではいかなかった。島田御大ばりの大技を用いるなら、舞台をどことも知れない小島にし、ちっぽけな言い伝えなどに土台を打ってはいけない。大技は大技をくり出すに足る、鬼面人を驚かすような意匠を用意しなくてはならないのだ。
いろいろけなしてみたが、不思議なモノローグの謎が明かされるラストなど、実は意外と楽しめたのも事実。むしろアンチに近い僕がこれだけ読めたのだから、ファンならいっそう堪能できるのではなかろうか。
それにしても学習プレイランドは絶対に流行らないだろうなあ。


08.3.1
評価:★★★ 6
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